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落合陽一『xDiversity』の身体拡張とDXの可能性

メディアアーティストの落合陽一さんが率いる、身体拡張をテーマにした『xDiversity』の第1期活動がお台場にある科学未来館で行われました。

計4回のワークショップ形式で行われた内容は、乙武さんの義足開発でも注目を集めるロボティクス担当の遠藤謙さん、視聴覚障害を持つ方の為に音を振動化することによって伝える「Ontenna」開発者の本多達也さん、A.I開発やコンピュータービジョンで活躍される菅野裕介さん、そして三次元視聴触覚での落合陽一さんが、「音と質量」「A.Iアルゴリズム」「コンピュータープログラミング」「論文考察」など、盛りだくさんの内容で行われました。


1、音を振動で伝える「Ontenna」

「Ontenna」を駆使した本多さんの回では、音を振動で伝える事に変換することにより、視聴覚障害を持つ方にも音楽を振動で感じてもらう事ができます。

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また、野外での車の接近音や誰かの呼びかけ等もデヴァイスを通して振動化する事により察知することができる為、様々なシーンでの活用が期待されます。


2、プログラミングで義足をコーディングする

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パラリンピック選手の義足開発でも知られる遠藤謙さんでは、実際にプログラミングをする事により、歩く・走るなどの実際の人間の身体活動を、義足に変えたときに必要とするデータ解析と蓄積を行います。

私たちが、普段何気なく行っている身体活動「掴む」「投げる」「拾う」も膨大な情報量と緻密なアルゴリズムで行われていることに気付かされます。

実際にパラ選手が使用する義足をつけて、歩いたり走ったりできたのは良い経験となりました。

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3、A.Iによる社会解決と現在の課題

コンピュータービジョンを担当する菅野さんは、A.Iのディープラーニング機能を使用して、実際にアルゴリズムを構築し、人工知能による今後の社会における課題解決の可能性と課題、問題点もディスカッション。

さらに、いまやインターネットでオープンソース化している『論文』の読み解きと成り立っていく文脈が、『DJ風』にサンプリング化していくという表現が、若い世代の柔軟な研究者の可能性と才能を感じさせました。


4、身体拡張とDXでドライブする日本未来

最後に、落合陽一さんの『三次元視聴触覚』という、ちょっと馴染みのないジャンル。

つまりは、「音」=「波長」である為にこれをコントロールすることにより「質量」を与えたり、音を届ける場所を最適化させたりピンポイントに限定したりするわけです。(※音圧や場所のコントロールを最大限にすれば、音で物体も持ち上げる事が可能です)


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以上を見ても、これらの技術を駆使すればあらゆる身体のリミットや障害を克服する未来が溢れています。

そして今回、コロナ禍で行われるこの研究や活動が、オフライン(研究と実装)とオンライン(情報共有とコミュニケーション)を見事にハイブリッドさせてドライブされている事でした。

この仕組みは、今やデジタル後進国と揶揄されている日本のあらゆる組織やプロジェクトで活用するべきメソッドであり、9月に発足されたデジタル庁にも期待を寄せたい。

以前に、ある芸術家がこんな言葉を口にしていて、大変に合点がいった。

「社会問題を解決するのは『How』ではなく、『Wow』である」

新しい時代をサバイブしていく為の、最大のソリューションかもしれません。

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