AI時代におけるwebtoon制作
昨今、何かと世間を賑わせている「AI」。クリエイティブの現場でも様々な波紋を呼んでいるようです。
2000年初頭のデジタル革命は、写真や映画のフィルムがデジタルに変換していく、まさに黎明期でした。
2004年に映画製作の勉強の為にアメリカ・ニューヨークにいた僕は、映画の現場がアナログからデジタルへ移り変わるグラデーションを目の当たりにしていました。
「映画はフィルムで撮るもの」「デジタルは邪道」など、様々な声が聞こえて来ましたが、2024年現在、デジタルが様々なシーンで主流となっている事は言うまでもありません。
この変換は、とてつもないパラダイムシフトを起こしました。特にそれまでハードルの高かった映像製作がデジタル化により、誰でも気軽に製作できるようになります。
そして今、我々ご目の当たりしている「AI時代」は、あの時のデジタル変換がもたらしたパラダイムシフトの比にならない衝撃を迎えようとしています。
この「AI時代」を様々な分野で語り出したらキリがないので、今回はクリエイティブの現場、ひいては「webtoon」に着目していきたいと考えます。
日本の漫画文化は世界に誇るコンテンツとなっていますが、その独特な構成は世界的に見てもかなり特殊な部類に入ります。
独自のルールで展開される「コマ割り」や、右から左に流れる目線を誘導する構成は、世界的に見てもかなり癖が強めだといえます(※英語の文字は左から右へ視線を誘導する為)。
特に近年のスマートフォンやタブレットに代表されるデヴァイスの進化は、その独特の漫画構成にとっては非常に不向きなフォーマットとなってしまっています。
そこに登場したのが「webtoon」であり、スマートフォンやタブレットの縦読みに対応したコンテンツとなっています。
世界的に見ても、この「縦読み」に特化した「webtoon」は今や世界の主流となりはじめています。日本でもスマッシュヒットを飛ばした「梨泰院クラス」も「webtoon」発信でした。
韓国ではこの「webtoon」が大人気となっていますが、漫画と違いフルカラーで構成される為、製作現場が疲弊しかなりの重労働を強いられる問題もあります。
ここに「AI」技術による、クリエイティブ現場の効率化の可能性が広がります。
画像生成AIによる技術を利用した、「色塗り」の自動化、仕上げの効率化を行うことでかなり作業負担を軽減させることが可能です。
○「下書き」⇨「AIで色塗り」→「アナログで仕上げ」
○「AIで下書き」⇨「アナログで色塗り」⇨「AIで仕上げ」
などなど、様々な形で「AI」を製作のワークフローに組み込むことが可能です。
「midjourney」「stable deffusion」など、イラストの画像生成AIプラットーフォームは何かと話題になっています。
しかしながら、インターネット上の画像アセットで機械学習をしているこれらの「生成AIプラットフォーム」には、著作権に関する問題が付き纏います。
現在、アメリカでもこの画像生成AIの創作物に関する著作権の問題が実しやかに取り出されています。
今後は、企業やプラットフォーム側がプロの絵師を雇いAIに機械学習をさせる形態が取られ、この著作権の問題をクリアしていくと考えられます。
倫理観や感情論に関する問題も、アナログからデジタルに移行していったフェースの様にやがて生活の一部として浸透して行くことと思います。
この「AI時代」において、開発を促進させていくオープンソースというスタイルは、CG映像業界でも昔から主流となっています。
これまで、長いレンダリングを必要とした映像製作に革命をもたらす「Unreal Engin 5」というフリーソフトも登場しました。
これは「リアルタイムレンダリング」を可能にしたオープンソース形プラットフォームとなります。
ここで作成、もしくはダウンロードしたアセットでイラストにおける背景を製作、これをこのまま「webtoon」に組み込めます。
「Unreal Engin」の特性を生かし、カメラアングル、太陽の高さも自在にコントローるできるわけです。
これらの「AI技術」「Unreal Engin」を駆使して、誰もが高品質の「Webtoon」を製作する環境が整いました。
凄まじい速さで進化するテクノロジーを目の当たりにして胸が「ワクワク」する一方、それに相反する様にテクノロジーの変化に対応できない人の法整備と倫理観にジレンマを感じることもあります。
「ムーアの法則」になぞり指数関数的に進化するこの技術は、すでに人の許容量を大きく超える「シンギュラリー」のフェーズを迎えてると言えます。
このAIにおける法規制も倫理も、さらに強いAIのアルゴリズムを元に秩序を作り出す時代に突入したという事でしょうか。
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