私がぼからんにハマり、そして離れた理由(後編)

(この記事は後編になっています。前編はこちらからご覧ください。)


ボカロの再興とともに過去最大の賑わいを見せたぼからんまとめ。しかし、本家ぼからんにて新たな問題が発生したことで状況は一変します。

ランクイン曲の固定化

ぼからんの文化の一つに「門番」という文化があります。詳細はこちらの記事が詳しいので省きますが、簡単に言うとぼからんに長期ランクインし続けている曲のことを指します。従来門番になる楽曲と言うのは数が限られており、また長くても1年程度でランキング外に落ちると言うのが普通でした。しかし2016年頃から門番数の増加し、2018〜19年にはTOP30のうち半数以上が門番という状況が多発してしまいました。加えて、門番の長期化により複数年ランクインし続ける曲も珍しくなくなり、中には一度圏外になったにも関わらず再び門番へ返り咲く曲もある始末でした。

もちろん、ランキング動画というのはあくまで公式のデータに沿って行うものですから、集計した結果顔ぶれが変化しないということ自体は問題ではありません。しかし、門番の数が増えれば増えるほど、新曲がランクインする余地は減っていきます。一般にランキング動画の視聴者というのは新曲や新着動画を漁るために見ているという人が多く、彼らからすれば面子の変わらない動画はほぼ意味をなしません。同時に、私のような数字に興味がある人にとってもランクインする曲が固定化されてしまうのはつまらないと感じうるでしょう。

ぼからん側もこの状況を受けて、2018年に計算式の見直しを行ってより新曲がランクインしやすいルールに改正しました。しかしながら、後述する工作の影響などもあってランキングはさらに既存曲で埋まるようになり、多様化することはありませんでした。

ぼからんを標的にした工作

そもそも工作はニコニコ動画(というより動画サイト全般)では付き物の存在で、ぼからんを含めたランキングへのランクインや上位独占を目的とした工作というのは黎明期から頻発していました。しかし、2018年の頃からボカロ曲を標的にした工作が激化します。当然、ぼからんでは工作された動画であってもその数字通りに集計しなければならないため、ランキングは健全に機能しなくなり新曲はランクインできなくなります。実際にぼからんまとめのページを見れば分かるのですが、それまでランキング圏外だった数年前の曲が突如上位に居座るようになったりコメント数やマイリスト数に比べて再生数が異常に多いという現象が多発したのです。

それでも、暫くは数曲程度が工作被害に遭う程度で済んでいましたが、2019年に入ると数十曲を標的にした大規模工作が続けられ、TOP30のボーダーは数倍にも跳ね上がり、TOP5はおろか酷い時には新曲がTOP30に1曲も入れないという事態にまでなりました。私はその頃既にぼからんからは離れてしまったのですが、当時ぼからん本編の動画に工作者が自ら喧伝しに来るなど、過去最悪と呼んでいいほどの状況になっていたそうです。

※余談ですが、この頃の一連の工作被害に辟易し、或いは自演工作の疑いをかけられたことでニコニコ動画上での楽曲投稿をやめてしまった方もいたと記憶しています。工作というのは、工作者本人がそれを言い出さない限りは、アンチがやったのか愉快犯がやったのか、或いは投稿者による自演ないしは依頼によるものか、聞き手の私たちには予想はついても判別はできません。ぼからんまとめのページをみれば、現在ミリオンや数百万再生を達成しているあの有名曲が実は大掛かりな工作によるものだったという事実を知ることになると思いますが、工作されたという事実はその曲の出来や評価に影響を及ぼすものでは決してありませんし、確かなソースがないまま製作者に工作の罪を被せることはあってはなりません。少なくとも私はそういうポリシーを持っていますし、ここで工作の話題について触れることは「工作された曲やそのPを貶める」ものでも、「ぼからんはボカロ曲の大規模工作を招いた元凶である」と主張するものでもないことをご理解ください。

ぼからんまとめ掲示板の治安悪化

個人的にはこれが一番の理由です。前編で述べた通りぼからんまとめは2016年以降アクセス者がぐっと増えたことで、必ずしもいい話だけではなくボカロPの不祥事や一連の工作騒動に関する議論も行われていました(あまりの活発具合に議論用の掲示板ができた後、さらに工作等の不正に関する掲示板までできたほどです)。

しかし、私見を述べるとすれば、いくらユーザーが外野で対策を練ったところで、運営母体のニコニコ動画が手を打たない限りはどうにもならないと思うのです。実際、当時行われていた議論は毎回大した結論も出ず、そこへ別の利用者がぼからんまとめのサイトで工作の話題を出すこと自体に異議を唱え、今度は掲示板の利用方法や誹謗中傷の線引きに関して紛糾するという堂々巡りな状態でした。基本的にぼからんまとめはアクセス数を考慮してもネットの掲示板ではかなり治安の良い方なのですが、議論になるとはっきり言って建設的ではない、というよりテーマの都合上真っ当な話し合いはほぼ不可能だったように感じます。

新生ぼからん、そしてぼからんまとめの今

そうして、私はリアルの方で忙しくなったり、邦楽ロックに興味が移っていたりしたこともあって、2018年の後半ごろには全くぼからんとぼからんまとめから離れてしまいました。

ぼからんは2019年7月のニコニコ動画カテゴリ再編の際に、ランキング形式を「2週間以内に投稿された曲に絞る」という形式に変えることで工作曲のランクインを強制的に制限。それに伴いぼからんまとめは更新を終了し、現在は掲示板が稼働しているのみとなっています。データベースはランキング改編直前までの分は全て残っており自由に閲覧可能になっているものの、掲示板は最早かつての賑わいは残っていません。

しかし、掲示板には今でも有志がデータを集計して定期的に書き込みをしたり、殿堂入り(10万再生達成)や伝説入り(100万再生達成)までの所用時間を記録・共有したりするなど、データベースとしての役割は今も残っています。特に、近年はYouTube上でも活動するボカロPが多くなり、ニコニコ動画のみならずYouTube上のボカロ曲のについてもデータを集めているようです。また、billboardやオリコンまでランキングの裾を広げたり、米津玄師やヨルシカ、YOASOBI等ボカロ発アーティストの動向を追ったりする様子も見られます。

人気曲の投票や紹介も続けられており、ぼからん民だけでなくボカロファンが集まる場、隠れた名曲を掘り出す事のできるサイトとしても今なお使われています。

終わりに

以上、私とぼからんとぼからんまとめの関わりについてまとめてみました。私は決してぼからんやぼからんまとめを批判するつもりはありません。ただ、自分には面白いと思えなくなってしまったために距離を置いたと言うだけです。今でも、新曲の情報やボカロ関連のニュースを仕入れるためにたまにサイトを訪問することがあります。

ぼからんはボカロ曲の「数字」という側面の特化したサイトなので、データでボカロを分析するのが好きな人には是非見てもらいたいです。反対に、ボカロやボカロPを数字で語ったり比較したりすることに抵抗感がある人が大勢いることも私は承知しています。そういう方は、ぼからんはむしろ合わないかもしれません。

ぼからんはこれからも暫く続いていくとは思いますが、ぼからんまとめは現在管理人の好意で掲示板が続いている状況で、利用者がさらに減少すれば閉鎖されるのもそう遠くないことでしょう。この記事を読んで、ぼからんやぼからんまとめに興味を持った方が一人でもいれば大変嬉しいことです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


終わり

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