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「取るだけ育休」が増えれば「きちんと育休」も増える
男性の育休取得率、政府目標30%。
もし、男性育休が目標の30%まで広まったら、「取るだけ育休」が増えること、確実です。
でも、と考えてみました。
「取るだけ育休」問題
「取るだけ育休」が大きく取り上げられたのは、2020年1月のこと。
妊活、妊娠、出産、育児に関する情報サイト「ママリ」を運営するコネヒト株式会社が名付けた言葉だと言われています。
コネヒトさんの調査よると、育休を取得した男性の妻に聞いたところ、約3人に1人は、夫の1日あたりの家事育児時間が2時間以下だったと答えたそうです。
また、この調査で、夫の育休の実態を次のように嘆いています。
◆育休を取っても家でだらだら。結局家のことは私がやっていた。体力も完全に戻っていなかったので、もっと家事をやってほしかった。
◆まず4日しかない育休を自分の都合で日にちを勝手に決めて、その内何日かは自分が遊びに行くことに使ったので、育児をする為に育休を使って欲しかった。
◆子供と接する時間をもっと充実させてほしかった。自分のことばかりを優先する姿勢を見直してほしかった。
確かに、見事なまでの「取るだけ育休」です。
家庭と十分に向き合わず、会社ばかりに目を向けている「取るだけ育休」パパ。
「育休取らないパパより、自分の方がマシでしょ」と、ママには通じない持論を展開してそうです。
「取るだけ育休」になってしまう社会的背景
「取るだけ育休」は、単に家庭だけでなく、日本社会の雇用や出世にもかかわる問題です。
育休という言葉が発する、育児は一定期間休んで行うものというイメージも「取るだけ育休」を助長しています。
年休取得率の低さに見られるような、自ら休むことを良しとされない風潮。
会社から強制的に休まされるならば、引け目を感じることなく休むことができるという思い込み。
仕事を休めば、評価が下げられ、給与に響き、出世できなくなってしまう現実。
法律では、事業者にパタハラを防止する措置を義務付けています。
でも、会社ばかりに目を向けているパパは、パタハラを回避しながら、男社会を生き抜くしかないのです。
だから、数日間の育休を取っても、または取らされても、家庭ではなく、自分と会社のことばかり考えてしまうのです。
「取るだけ育休」問題が大きくなれば
このように「取るだけ育休」には、家庭の事情だけでなく、社会のシステムや風潮が大きく関わっているため、解決することはかなり難しいことでしょう。
今後、男性が育休を取得しやすい環境が整備されていけばいくほど、「取るだけ育休」は大きな問題になっていきます。
1週間程度の育休は、日ごろの疲労を回復させるための口実として利用されてしまうことがありそうです。
「取るだけ育休」問題が大きくなればなるほど、良いこともあります。
それは、家事育児に大きく貢献する「きちんと育休」の男性の実数が多くなるということです。
日本でも、法律が整備されたり、職場で育休が義務化されたりすることで、男性の育休取得率は上がっていきます。
育休取得率があがれば、残念なことに「取るだけ育休」の比率が、今(3人に1人)よりも大きくなることでしょう。
でも、「きちんと育休」の男性の実数が、今より確実に増えます。
「取るだけ育休」にしてしまった男性は、公の場では「取るだけ育休」だったとは言えません。
あたかも「きちんと育休」だったのかのように振る舞うことでしょう。
そうならば、本当に「きちんと育休」だった男性が肩身の狭い思いをすることはありません。
「きちんと育休」男性の実数が増えることで、家事育児について真剣に考えていくことのできる男性が増えていくことになると思うのです。
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