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ブックスキューブリック大井さんを訪ねて
■自己紹介
みなさま、はじめまして。
来年の4月から藤原印刷に入社する田川いちかと申します。
ここで私の自己紹介を少しさせて頂きます。
現在福岡大学4年生で、本と銭湯と古道具と器がだいすきです。サウナは生きがいです。
本の印刷や加工、製本技術の奥ゆかしさや可能性を藤原印刷の本を通じて感じ、印刷についてもっと知りたい、学びたい!と思い、ご縁を頂くことができました。
そのため、福岡の田舎でずっと育ってきた私がなんと!来年の4月から東京に上京し、初めての一人暮らし生活をスタートさせます。
■九州の素敵な本屋を巡ります
そこで、私が福岡にいる間に九州にある素敵な本屋の店主の方々にインタビューさせて頂くプロジェクトを始めます。このプロジェクトは、本屋さんに実際に行って、話を伺い、その本屋さんにある藤原印刷が印刷をした本を探します。そして私は、将来書店の方々に「藤原印刷が印刷している本だから仕入れてみようか」と思って頂けるようにどのような基準で本を仕入れているのか、など店主の方々の目線で本をみる力を身に付けたいと考えています。
■第一弾はこのお店のこの方!
その第一回目として、ブックスキューブリックの店主である大井実さんを東京支店営業部の章次さんに繋いでいただきインタビューをしました!
「ブックスキューブリックけやき通り店」は、福岡の繁華街である天神から10分ほど歩いたところにある「小さな総合書店」「出会える本屋」をコンセプトした書店です。約13坪の売り場に本や雑誌など、ジャンルを問わず総合的に取り扱い、箱崎にはカフェ併設の2号店もあります。
今回は、けやき通り店でインタビューさせて頂きました。
「ここにある本で藤原印刷が印刷している本を探すんだよね?よーいどん!」挨拶を終えると大井さんに言われ、最初の30分で私は見覚えのある本から心惹かれる本をペラペラとめくり、藤原印刷が印刷した本をたくさん見つけました。今回はその中から5冊の本を紹介します!
■藤原印刷で印刷した本をご紹介
①ミシマ社さん 「菌の声を聴け」
鳥取の田舎で自家採取菌にこだわったパンやビールを製造・販売されているタルマーリー・渡邉格さんの新刊です。ミシマ社の本が大好きでよく読むので前から気になっている本です。この機会に読んでみようと思います..!
②エムエム・ブックスさん 「murmur magazine for men」と「まぁまぁマガジン」
服部みれいさんが編集長をされていて、私自身、みれいさんの本を何冊も持っていて、冷えとり法や半身浴を生活に取り入れるほど大ファンです。その方の雑誌を印刷してると知り、とてもテンションが上がりました..!
③信陽堂さん 「三春タイムズ」
長谷川ちえさんのエッセイ集です。表紙が活版印刷と箔押し仕様で作られたこだわりが手を通じて伝わる本であり、一目見て「素敵...」と息を呑む本でした。
④情景編集舎さん 「nice things.」
全国各地の作り手やお店に丁寧な取材を行い、生活の温度が感じられる雑誌です。私が大好きな大分にある雑貨屋さんにこの本が1冊だけ置いてあり、本屋さんだけでなく雑貨屋さんまでも入荷したいと思う本なんだと思ったのを覚えています。
⑤三輪舎さん 「本を贈る」
本に関わる異なる仕事をされている10人の方が文章を書いています。著者、編集、校正、装丁、印刷、製本、営業、取次、書店員、本屋さん。どのページを開いても本に関わる方々の思いが込められている本です。大井さんからも読んだ方がいいよとお勧めされた本なので間違いありません。絶対読みます。
紹介しきれなかった本もたくさんありますが、地元の本屋さんに藤原印刷が印刷した本がこんなにもあるということを改めて知り、とても嬉しくなりました。
■大井さんへインタビュー
そして店主である大井さんへのインタビューが始まりました。
私は、大井さんには事前に3つ質問を考えていました。
・藤原印刷の印象について
・普段本を仕入れた際に印刷会社まで見るのか
・今後藤原印刷に期待していること
○藤原印刷の印象について
藤原印刷は「存在感のある本」や「所有したい気持ちをかき立てる本」を作っていると思います。先程紹介した「本を贈る」は表紙や背表紙にこだわりを込め、中の紙は1種類の紙で作り上手くコストのバランスを取っています。今は電子書籍の時代でどれだけ紙の本で所有したいと思わせるかが大事。藤原印刷が印刷した本はそう思わせる力がある。様々な仕様を予算の中で工夫して雰囲気のある本を作っている印象。と仰ってくださいました。
○普段本を仕入れた際に印刷会社まで見るのか
普段は仕入れる本の数が多いため印刷会社まで見ていない。でも、結果的に藤原印刷の本が多いね。と仰っていました。
○今後藤原印刷に期待していること
本の作りが簡素になってきている時代だから藤原印刷みたいに凝った印刷や製本に取り組もうとしている会社には所有する喜びを探究してほしい。
ただ情報だけを取得したい人はネットだけでいいとなるけど、それでもあえて本を買おうと思う人のためにどうやったら所有欲をかき立てることができるかが勝負だと仰っていました。
■ひと休憩
ここでコーヒーブレイクとして、私が大井さんに持っていった「おつまみ研究所」の話をします。「おつまみ研究所」は、たくさんの種類があり、色んな味の美味しさを知って、楽しんでもらいたい!というコンセプトで島根県松江市で作られています。私は福岡にある「NONE TOO SOON」という雑貨屋さんで発見しましたがついつい食べてしまうので食べて見て下さい...!
■まとめ
今回大井さんとお話しして、大きな学びがありました。
藤原印刷の「どんなに手間のかかる製本や難しい印刷でも一緒に作りたい」という思いと大井さんの「デジタル化が進む現代であえて紙に印刷する価値がある」は共通していて、紙の本には無限大の可能性があると確信しました。デジタルにも良い部分があると思いますが、紙の触り心地の良さや印刷技術に触れられ、作り手の方のこだわりが感じられる紙の本は大きな価値になります。入社後は、大井さんが仰った「所有する喜び」を探求していきたいです。
また、大井さんが新たな視点を教えてくれました。それは、本を作る上でのキーパーソンである装丁をされる方の存在です。恥ずかしながら私はその存在を今まで知りませんでした。本の雰囲気や方向性を決める役割をしており、これから本を見る際にはチェックしようと思いました。自分の知らない視点がまだまだたくさんあってさらに本に興味が湧きました!
最後に、もし福岡に来る機会がありましたら、ブックスキューブリックに行ってみて下さい。きっとあなたの所有欲をかき立てる本があるはずです!
次回もお楽しみに!
【訪問先】
ブックスキューブリックけやき通り店
〒810-0042 福岡市中央区赤坂2丁目1-12ネオグランデ赤坂1F
(田川いちか)