![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68662404/rectangle_large_type_2_6fc18a9abb5b8be4195abe497d860f5a.jpg?width=1200)
はじめてのロゴできました
こんにちは。藤原隆充(藤原兄)です。
藤原印刷は祖母が1955年に創業してから2020年におかげさまで65年となりました。支えていただいた方々には感謝しかありません。ありがとうございます。そしてこの記念すべきタイミングに新しくロゴをつくることにしました。
■ロゴデザインのパートナー
ロゴをつくろうと決めて最初に出てきたテーマが「どなたにお願いしようか」でした。ありがたいことに、ここ数年でたくさんのデザイナーさんと仕事をご一緒する機会をいただき、贅沢な悩みですが、お願いしたい方がたくさんいらっしゃって選びきれないくらいでした。
そこで「自分たちらしいロゴのつくりかたとは?」を考えたとき、頭に浮かんだキーワードが「藤原印刷の歴史」でした。日本国内には1万社以上の印刷会社が存在しますし、中には65年以上存続している会社もあります。
ただ、長野県の奈川村出身の女性タイピストが退職金を元手にタイプライターを購入し独立、自宅に印刷機を導入して株式会社を設立、東京へ進出して出版社を開拓、業界が低迷する中でも頑丈な会社にし、印刷の新たな可能性に挑戦している歴史は藤原印刷にしかありません。
その歴史を振り返ったとき、ひとりのデザイナーさんが思い浮かびました。それがFLOWER MARKの武井哲史さんです。
(右が武井哲史さん。左は一緒にデザイン事務所をされている奥さんの萌さん)
武井さんは松本市で生まれ育ち、都内の広告代理店を経て独立し、いまは岡山を拠点にして東京、岡山、長野で活躍されています。武井さんのお父さんもデザイナーで、なんと私の祖父が社長の時代に藤原印刷で働いていたことがあります。親子二代にわたって当社と関わりがあり、当時と今を知る唯一無二の方でした。またなにより、武井さんのデザインは特有のやわらかさがあって、どんな方にも受け入れられる優しさを感じます。それが私たちの目指す姿と合致しました。
■個性を探し出す
「コンセプトワードが決まればビジュアルも自然と定まる」が武井さんのデザインワークの根幹です。現社長へのインタビューから抽出されたキーワードがこちらです。
このキーワードをもとに藤原印刷の個性(キャラクター)を言語化してもらいました。
↓
「伝統」と「革新」だけを聞くと使い慣れた言葉ですが、ヒアリングからキーワードを抽出し、キーワードから文脈をつくり、文脈をシンプルなテキストにすることで自然と自分たちの言葉へと置き換わっていきました。
■哲学を言語化する
次に取り掛かったのが「心刷」を再言語化することです。
「心刷」とは創業者がつくった言葉で「一文字一文字に心を込め、一冊一冊を大切にしながら本をつくる」ことを意味します。昔も今も社員の心の中にあり、仕事をする上で最も大切にしている言葉です。
創業当時、タイピストだった創業者は手書きの原稿用紙の文字をタイプライターで打つ際、紙面から伝わる熱量を活字に込めたいと思い、考案したと聞いています。この思いを中枢に置き、今まで培ってきた要素を加味して改めて言語化することを試みました。
結果、心刷には2つの要素が存在することがわかりました。
1つ目が品質に対する飽くなき追求です。妥協を許さないことが品質の向上に繋がり、製品の仕上がりの良さは人の心に訴えかけます。
2つ目はお客様や関係する方々への気づかいです。
当社には「青字」という少し変わった文化があります。通常は原稿に著者や編集者の方が赤字を入れて修正指示をし、その赤字通りに印刷会社で修正します。青字とは、赤字修正をしている最中に気がつく「ここはもしかしたらこうではないか?」とお知らせすることです。赤字修正の抜けや漏れ、誤字や脱字などを青鉛筆で書いて付箋で貼り付けて原稿をお戻しする。これを何十年も前から続けています。
言われたことだけをするのではなく、お客様の立場で考え、「余計なお世話になるかもしれないが、一助になれるかもしれない」とホスピタリティの精神が詰まったすばらしい文化だと思っています。
企業理念の心刷は「クオリティへの強いこだわり」と「お客様への細やかな気遣い」の両方があってはじめて成り立ちます。そのどちらかが欠けたらそれは心刷ではありません。つまり藤原印刷のなすべきことではありません。
この哲学をよりシンプルな言葉にしました。
■デザインコンセプト
これまでの「個性」と「哲学」からロゴデザインのコンセプトが浮かび上がってきました。
これまでここで紹介しているスライドはすべてデザイナー武井さんのプレゼン資料を流用したものです。初回のプレゼンには社長はじめ取締役、部長、藤原章次が参加していました。武井さんの話を聞いて、そこにいる全員が何度も大きく頷き、胸が高揚し、室内の温度が上がるような状態だったことを鮮明に覚えています。
■ロゴ発表
前置きがずいぶん長くなってしまいましたが、ここまでの過程を経てできあがったロゴなのでしっかりとお伝えしたかったのです。それではロゴを発表させていただきます。
「レトロ+モダン」
旧字のフォルムやタイプライター活字から受けるレトロな雰囲気と、Webフォントなど現代書体に共通する流線の柔らかさを同時に共存させることで、温故知新でありながら、どの時代にも固執しない自由な文字を模索。
「ボールド+細部の美」
CIの印象で力強さを最も表現しやすいゴシック体をベースに骨格線をひき、とめ・はねなどの部位に有機的なニュアンスを加えながら、ディティールの美しさを追求。
■デザインは内なるものから
ロゴをつくって本当に良かったと思っています。それは素晴らしいロゴができあがったからだけではありません。ロゴをつくることを通して、自社の個性を見つけ、柱となる哲学を見出し、言葉として共通になったことで、この先何十年後に振り返ったときのターニングポイントになったと思います。
改めて、新たなロゴをつくっていただいたFLOWER MARK武井さんに最大限の感謝をおくります。
また、これまで藤原印刷の65年の歴史の中で、働いていただいた社員の皆様、助けていただいた協力会社の皆様、支えていただいた仕入れ会社の皆様、お仕事を発注して下さったすべてのお客様、本当にありがとうございました。皆様のおかげで藤原印刷は65年を迎えることができました。
私たちは印刷業を通してお客様に喜んでいただき、一人でも多くの方が幸せになっていただけるように努力し続けます。
(藤原隆充)