夜の飛行機。
私は夜の飛行機に乗るのが好きだ。昼とはなんとなく雰囲気も違う気がする。暗い飛行機の中とか、夜の月明かりに照らされた雲の感じとか、窓から見下ろす夜景とか。思わず酒を注文してしまう。なんとなく、大人の時間だなと感じる。
もう10年近くも前のことだけど、当時私は遠距離恋愛をしていたので、よく飛行機に乗った。仕事が終わって、すごく急いで、ぎりぎり乗れる時間の飛行機を予約していたのを思い出す。金曜日少し早く終わろうものならチケットの値段を確認したし、何週間も先の飛行機を確認するためによく航空会社のサイトを見ていた。それも必ず、夜の遅い時間の飛行機。朝一の飛行機よりも彼に会える時間が長くなるので、夜の飛行機が好きだった。仕事終わりで空腹なまま飛行機に乗って、そのあとコンビニに寄ったり、荷物を置いて酒を飲みに行ったり。とにかく夜の飛行機には楽しい思い出が多い。彼が会いに来たり、私が会いに行ったり、しょっちゅうお互い行ったり来たりしていた。
仕事帰りのボロボロの私を空港で彼がきょろきょろ探しながら待っている。その時間がすごく好きだった。残念ながら、その時間も二年弱で終わってしまった。というのも、私たちは結婚して一緒に住み始めたからだけど。子どもがうまれた今でも、たまに夜遅い飛行機に乗りたいと思うときがある。まあでも、しばらくはないかな。今はコロナで難しいけど、年に何回か私と娘だけで実家に帰ることがあるのだけれど、相変わらず空港で私たちを待っている夫が好きだ。あのころと変わらずにきょろきょろ探しながら、目があえば手を振ってくれる。何年も変わらないけど、これからも変わらないでいてほしいと思う、ふじわらのふでした。