目からあふれ出た責任感/岡田英里①
アスリートは自信を持つもの。
確かにそうかもしれません。
でも、誰もが常に強くいられるわけではありません。
例え不安でも、「できることをやるだけ」。
そんな気持ちで、成長し続けた先に、
目指す自分がいるのかもしれません。
富士通レッドウェーブで、ポイントガード（PG）/
シューティングガード（SG）として活躍する
#3岡田英里選手（コートネーム:セイ）。
彼女もまた、偉大な先輩を見ながら、
「やるしかない」と決意を決めて、
前進し続ける選手の一人です。
負けず嫌いでのめり込んだバスケ
4歳上の姉の影響で、小学校1年生から始めた
バスケットボール。最初は楽しかったというより、
「その頃はすごく負けず嫌いだったので、
のめり込んだんだと思います」
と続けた理由を語ります。
中学・高校では、持ち前の向上心と
スピードを武器に活躍。全国大会常連である
茨城の明秀学園日立高で、中心選手として活躍しました。
特に、彼女のキャリアで注目されるのは、
東京医療保健大でのインカレ3連覇。
ユニバーシアード（学生）日本代表にも選ばれ、
世代を代表する選手となっていきます。
大学時代について本人は、
「練習と勉強の両立がもとにかく大変で、起きて朝練して、ご飯を食べて、授業が終わったらすぐに練習で、終わったらもう夜といった感じでしたね。優勝できて嬉しいというより、 その記憶のほうが強く残っています」
と振り返ります。
感じたレベルの壁
そんな彼女にやってきたのが
レッドウェーブからのオファーでした。
「私が入れるなんて思ってもいませんでした。以前から試合も見ていたので、スタイルも自分にあっているなと思い、すぐ決めました」
しかし、ここまで順調にキャリアを
積み重ねてきた彼女にも壁が立ちはだかります。
同じポジションを争うのは、
PG町田瑠唯選手やSG篠崎澪（2021年度引退）選手。
日本トップクラスの選手から
ポジションを確保するのは、
簡単ではありません。特にここまでスタメンで
試合に出てきただけに、交代で試合に出る
難しさも経験しました。
「やっぱりレベルは高いなって思いましたね。シィさん（篠崎）、やばいな、と思いました。大学生の時は1年目からずっと試合に出てましたが、レッドウェーブに来て、交代で結果を残さなければいけない。短い時間で貢献しなければいけないのは、本当に難しいなと思いました」
1年目の大怪我を乗り越えて
それでも、徐々にドライブでディフェンスを
崩したり、少しずつ自分の強みを出していくことで、
プレータイムも伸ばしていった岡田選手。
ただ、慣れてきた矢先の1年目のシーズン終盤、
前十字靭帯断裂の大怪我を負います。
ただ、本人は前を向く以外に
選択肢がないと知っていました。
「1年目の最後で試合に出られなかったのは悔しかったですけど、次のシーズンも間に合いました。リハビリでしっかりと身体を作ることができたので、特に怪我で、めちゃくちゃ落ち込んだみたいなことはありませんでした」
驚異的な速さで回復した岡田選手は
迎えた2年目、貴重な戦力として
自分の役割をこなします。
ただ、リーグ唯一の全勝で迎えた、1月の三菱電機戦。
ひとつのターニングポイントになる
試合がありました。
いつもよりも責任感を感じていた
三菱戦の第4Ｑラストショット、町田選手から
パスを受けた岡田選手は、３ポイントを放ちます。
しかし、リングにはじかれタイムアップ。
レッドウェーブはシーズン初の
黒星を喫しました。
敗戦は決して彼女だけの責任ではありません。
ただ、この日ポーカーフェイスな彼女が
珍しく涙を流し、悔しさを表に出したことは、
強くチームメンバーの記憶に残っています。
「2年目は、1年目よりも自分の役割を理解してきて、三菱戦の時はちょうどコロナも流行っていたり、通常と違うことも多かった。いつもよりも責任感を感じていて、勝たなきゃいけないと思っていた試合でした。そんな中で、最後シュートが回ってきて決めきれなかった。その悔しさがありましたね」
レッドウェーブに入って初めて、
負けて涙した日。
それは、新たな責任感が彼女の中に
生まれた日でもありました。
➡VOL.2に続く
#3 SG 岡田 英里 Eri Okada
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