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努力の先にあるもの/藤本愛妃①

努力は必ずしも報われるものではありません。
しかし、努力なくして成功もありません。
もちろん成功の定義はひとつではなく、
個々の目指すところに拠ります。
それでも、いや、だからこそ、
努力は、その人の成功に向けて、
大きな推進力になっていきます。

2022-23シーズン、富士通レッドウェーブで
スタメンセンターに抜擢された、
所属3年目の藤本愛妃選手(コートネーム・アキ)。

前年度の主力選手たちが引退・移籍をして
めぐってきた大きなチャンスです。
藤本選手はそれを手放さないよう、
今も懸命に努力を重ねています。

そんな彼女を語るうえで、
両親の存在は欠かせないものになっています。
なぜなら、
父は元プロ野球選手、
母はバレーボールの元オリンピック選手
なのですから。

まぶしすぎた両親の履歴

親の栄光はときとして、
子どもの重荷になることもあります。
「昔は本当に嫌でしたね」
藤本選手がそう振り返るのは、
いくら自分が頑張って、いい成績を残しても
「親がプロアスリートだからね」
と、評価の目を自分に向けられなかったからです。

しかし、今は違います。
「親のおかげで、私のことも知ってもらえて、
応援してくださる方も増えました。
ここに至るまでにいろんな学びもありましたし、
親がアスリートで本当によかったと感じています」

突き付けられた“日本一”の現実

転機となったのは、愛知・桜花学園高校に進んだことです。
言わずと知れた、高校女子バスケット界きっての名門校。
ミニバス、中学と全国大会に出場し、
そこでも実力を発揮していた藤本選手は、
一定の自信を持って、その門をくぐりました。

しかし、そこで待ち受けていたのは、
藤本選手と同じような経歴を持つ選手たちです。
それどころか、中学時代に、
藤本選手よりも上位の成績を残したチームの
エース級ばかりが集まってきていました。



「自分の替えなんていくらでもいるわけで、
毎日が尋常じゃないほどチーム内競争の連続でした。
体力だけでなく、精神的にも苦しくて、
しかも1年目はホームシックにもなり、
泣きながら実家に電話をしていたほどです」

苦労を知るからこその言葉

不安に苛まれる日々。
一時的にでもそこから解放されようと
電話をしたその先で待っていたのは
想像とは異なる父の言葉でした。

「愛妃が選んだ道なんやろ? やれることはきちんとやれよ」

どこかで優しい言葉を待っていたのかもしれません。
しかし返ってきた父の言葉に、
藤本選手はハッとさせられました。

当初は徳島県内の強豪高校への進学を考えていました。
そんなときに桜花学園からオファーがあり、
最後は自分で決断をしました。
日本一と言ってもいいほどの厳しい環境のなかに、
自らの意思で飛び込んだのですから、
後戻りも、言い訳もできません。
父の言葉に、決意を新たにしたそうです。

とはいえ、まだまだ高校生。
不安定な時期は続きます。
その後もケガをしたり、
その間に後輩にポジションを奪われるなど、
心が大きく揺れることは何度もありました。
そのたびに、父は温かくて、厳しい言葉で奮い立たせてくれたのです。

今度は自分の力で日本一に

そういえば、昔、父からこんな話を聞いたことがあります――
藤本選手はそう話します。
「俺はこれまでたくさん苦労してきた。
どれだけ努力しても報われないこともあるんだよ」
けっしてネガティブな意味ではありません。
むしろ、その先をどう見るかをお父さんは説かれていたのでしょう。

報われないかもしれません。
それでも努力を続けるかどうかで、
その後の人生は変わります。
そして一度やると決めたからには、
少なくとも幕を下ろすまでは、
自分を信じて、貫くだけ。
そんな信念にも似た思いを、
藤本選手は幼いころから心に刻んでいたのです。

結果として、桜花学園では3年間で8度の全国優勝。
藤本選手もバックアップとして、
チームを支えることにフォーカスできていました。
しかし、どこかで判然としない思いも募っていたのも事実。
――大学では自分の力で日本一になってみたい。


ENEOSサンフラワーズ戦では妹の藤本愛瑚選手(写真左)とマッチアップする場面も。



そうして選んだ進学先が、
東京医療保健大学だったのです。

完全燃焼の大学からレッドウェーブへ

大学時代は1年生から試合に出場し、
1年目こそインカレ(大学選手権)での優勝を逃しましたが、
2年生から4年生まではインカレ3連覇を達成。
ケガを負った時期もあったものの
今度こそチームの中心メンバーとして、
また自分の力も発揮して、
日本一を勝ち取ったのです。
完全燃焼。

そして、藤本選手がアーリーエントリーで
富士通レッドウェーブに入団したのは2020年冬のことでした


#18 C 藤本 愛妃 Aki Fujimoto


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