不安でしかない。でもやる以外にない/岡田英里②
大怪我で終盤を棒に振った1年目。
それに比べて2年目は、
岡田英里選手（セイ）にとっても、
自分の役割を理解して、少しずつ自分の
やるべきことがわかってきた年。
そのシーズン、富士通レッドウェーブは
6年ぶりにWリーグ ファイナルへ進出。
トヨタ自動車の前に惜しくも敗れましたが、
第1戦ではリードを奪うなど、
勝利への糸口は掴みました。
優勝の可能性が見えたことは、
岡田選手にとっても、
大きな経験となりました。
「2年目はファイナルまでいったのが大きくて、最後はすごく悔しい想いがありました。ただ、このレッドウェーブというチームに、優勝できる力があるということも分かった。だからこそ、優勝を目標にしてチームで戦っていかなければいけないんだなって、思いましたね」
生まれた不安
そしてこの時、レッドウェーブが
シーズン終了と共に受け入れなければな
らなかったひとつの変化。
それは、主軸選手たちの引退です。
特に岡田選手にとっては、同ポジションで
2014年から不動のスタメンとして
活躍してきた篠崎澪選手が引退。
チームは、その穴を埋めて、なおかつ
より良いチームにしなければなりません。
彼女たちの引退を事前に知っていた岡田選手は、
ファイナルの後、篠崎選手と写真を撮り、涙を流しました。
その時に頭をよぎったのは、素直な感情です。
「正直、めちゃくちゃ不安でした。頑張ろうとか、やらなきゃみたいな気持ちより、とにかくめちゃくちゃ不安でしたね」
できることを、ただやる
アスリートには常に自信が必要。
でも、自然に生まれる不安を受け入れなければ、
当然、乗り越えることはできません。
それは新シーズンに向けても同じ。
過去は過去、未来は未来。
やることは決まっています。
「これからリーグが始まるので、正直やるしかない。不安はありますけど、できることを、ただやるだけ。本当に今年頑張らなければいけない、っていうのは思っています」
誰かのまねではなく
岡田選手にとって、2022-23シーズンは
ひとつの転機になる年。
プレシーズンのサマーキャンプ・オータムカップでは、
中心選手としてチームの勝利・優勝に貢献しました。
「ちょっとずつこういうプレーをしたらいいのかなっていうのは掴めてきています。私はハンドラー（ボールを触って調子をあげていく選手）なので、ボールを持ってこそ。いつも通り、ピックを使ったり、ドライブに行ったり、自分のできるプレーをするだけだと思っています」
「個人的にはシュートの確率をあげること。チームとしてやるべきことは、あまり変わらない。ディフェンスからトランジションというレッドウェーブのバスケットをしっかりやっていきたいです」
誰かのまねではなく、
自分らしさを追求して、進むだけ。
「どんなに頑張っても、絶対にシィさん（篠崎選手）にはなれない。ただ、得点は取らなきゃいけないとすごく思うので、積極的なオフェンスを心がけて、ベストを尽くすだけです」
消せない不安も、生まれた責任感も、
全てを前進する力に変えて。
岡田選手は今シーズンも自分らしく、
力の限りプレーします。
#3 SG 岡田 英里 Eri Okada
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