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レッドウェーブがレッドウェーブであるために/上杉瑠香チーフマネージャー②

大学時代、チームのためにマネージャーへと転身した上杉瑠香マネージャー。
強豪校でもなく、全国大会の経験もないという引け目から、
当初はレッドウェーブのマネージャーになることも躊躇っていました。
しかし、誰かのために懸命になる人は、
どこかで、誰かに見られているものです。
そして、ここという場面で、誰かが後押しをしてくれます。
上杉マネージャーは先輩とお姉さんの助言を受けて、
2017年春、富士通レッドウェーブのマネージャーとして入団しました。

マネージャーとは何者であるべきか

レッドウェーブはマネージャー3人体制で構成されています。
キャリアが最も浅いマネージャーは、練習を含めたコート周辺でのサポートと、試合のビデオ撮影などが主な役割になります。
キャリアが2番目のマネージャーは、若いマネージャーのサポートとしてコートに降りつつ、チーフマネージャーのサポートもして、その仕事を覚えていきます。
最もキャリアを積んだマネージャーは「チーフマネージャー」となり、会社やスポンサー、リーグ、協会などとの渉外が主な役割です。


レッドウェーブ入団後6年目の2022-23シーズン、
上杉マネージャーは「チーフマネージャー」になりました。
しかし、実のところを言えば、3年目の2019-20シーズンから彼女はチーフマネージャーのような働きをしていました。
当時のチーフマネージャーだった生方江梨奈さんが3X3女子日本代表のマネージャーとなり、チームを離れざるを得ない期間が多くなったためです。
前年まではコート周辺を駆け回り、試合のときはビデオカメラを持って会場の上階へ。
そんな上杉マネージャーが、チーフの仕事が何であるかもよくわからないうちにその仕事を任されたのです。
鍛えられたという1年でしたが、同時に、その1年があったからこそ、マネージャーが何者であるべきかを強く意識できるようになったと認めます。

「自覚と責任」をモットーとして

上杉マネージャーはそれを「自覚と責任」と表現します。
「外部と接する際、チームとしての第一印象を受けるのはマネージャーだと思っています。もちろん外部の方は試合を見て、たとえば「町田選手はすごいな。よし、コンタクトを取ってみよう」となるわけですが、その依頼の窓口はマネージャーです。マネージャーの印象がそのままチームの印象になるという責任をより持つようになったのが、その年でした」

ある種“チームの顔”だからこその責任を、いかに自覚して、その業務にあたるか。
「実際にはそれほど大きな影響はないのかもしれません。それでも私はそこまでの責任を持つべきだと思っていましたし、それをより自覚するようになったんです」
自覚と責任を持つことは、もちろん苦悩ともとなり合わせです。
チームを守るためとはいえ、その責任の大きさ、広さ、深さに押しつぶされそうになることもあるのです。
しかしそれも含めて、マネージャーとして自分がこのチームにいる意味だと上杉マネージャーは言います。
「バスケットとは関係のない友人からはよく『背負いすぎだよ』と言われますが、自分でこの世界に飛び込んでやると決めたことですし、今であれば丸山(茂実)部長やBT(テーブスヘッドコーチ)から、ある程度の信頼を置いていただいているので、その信頼を裏切るわけにもいきません」


そして、こう続けます。
「ただマネージャーの仕事に正解はないと思っています。今のレッドウェーブで言えば三者三様のマネージャーとしての考え方があるし、私の考えを2人に強要するつもりはありません。ただ、レッドウェーブがレッドウェーブである上で、マネージャーがしっかりしなければいけない。外部と繋がる自分たちが一番しっかりしなければいけない。そういう核の部分はしっかり継承していけたらと思っています」

すべてはチームのために、選手たちのために

自覚と責任をもってマネージャー道を進む上杉マネージャー。
チームや選手が認められたときは素直にうれしくなると言います。
昔は「チームの勝利が一番」「選手の笑顔が見られればうれしい」と思っていましたが、
今は「認められる」ことがうれしくなります。
なかなかプレータイムを得られなかった選手が、
努力を重ねた結果、一定のプレータイムを得られるようになることもそうです。
ヘッドコーチに「認められ」ているのですから。
「チーフマネージャーになってからはなかなか練習を見る機会もなくなっていますが、それでも一番近くでチームや選手のことを見ているからこそ、みんなの日々の努力や葛藤を知っているからこそ、花開く瞬間をそばで見守れる、それを感じられることは本当に幸せだなと思います」

名実ともにチーフマネージャーとなった昨シーズンはレギュラーシーズン5位、
プレーオフもクウォーターファイナルで終えました。
前年のファイナル進出を喜んでくださったファンのみなさんには、
もの足りない結果だったかもしれません。
もちろんチームもそうです。
だからこそもう一度その舞台に立つべく、2023-24シーズンのレッドウェーブは間もなく始動します。
しかしマネージャーの働きが、チームの勝利に直結するかと言えば、残念ながら、そうではありません。
そのことは上杉マネージャーも十分に理解しています。
だからこそ、チーフマネージャー2年目の2023-24シーズンも、
マネージャーとしてのスタンスは変えないと言います。
「チームのために自分がやれることを精一杯やるだけです。チームが崩れないようにフォローするとか、キャリアの浅い、若い選手に声をかけるとか、うまく伝わってなかったら伝え方を変えてアプローチするとか、チームのために自分ができることを精一杯……もうそれだけですね。それは大学でマネージャーをやり始めてからずっと変わらないことです」


マネージャーである以上、自分のことは常に二の次で、チームが最優先。
そう言うと友人からまた叱られそうだと笑いながら、上杉マネージャーの信念はぶれません。
「やれることは限られていますが、それでも、自分のことよりチームと選手が一番大切です。この仕事をしている以上は、どんなときもチームが一番であり、選手が一番なので。勝つためにできることというより、レッドウェーブがレッドウェーブであるためにできることを精一杯やるだけです」

2023-24シーズン、ヘッドコーチや部長、キャプテンらはもちろんのこと、チーフマネージャーにも宙に舞ってもらいたいと思います。

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チームは間もなく2023-24シーズンに向けて始動します。
新シーズンもご声援をよろしくお願いいたします!
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