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ボタン

俺は気分転換に山歩きが趣味で今日も1人朝早くから山道を歩いていた。
結構良く来る山なのでいつも通りの景色のはずなのに山の中にいきなりマリオに出てくるような地下に続く短い土管。
「なんだこれ?こんなの今まであったっけ?」と思いながら取り敢えずマリオみたいに地下に落ちたらどうすんだ?とか思いつつ好奇心には勝てず中を覗いてみると土管いっぱいの大きさの大きなボタンスイッチ。「これ押したらヤバいのかな?核とかのボタンじゃないよな?」なんて思いながら安物な作りの何処にでもあるボタンを土管に入ってトランポリンの上をジャンプするかのようにボタンに飛び降りジャンプして押してみる。

「何も起こらないのか?」なんて思っていたらブラウン管のテレビの電源が起動するかの様なブゥン~ンという起動音とともに周りの木々の新芽が育ち始めいきなり桜の蕾が膨らんだかと思ったらポップコーンが弾けるような音がしてその音と同時に桜が咲き始めた。
何かのサービスなのか百貨店とかにたまにあるスタイリッシュな高級トイレで音姫の代わりに音楽が流れる仕組みくらいのお手軽さで土管からBGMのように「ビバルデイの春」の音楽まで流れ始めてる。すっかり辺りの景色は春だ。

ちょっとビックリしてこのボタンをまた押したらどうなるか気になり、また土管にジャンプするかのように飛び降りてスイッチを押した。
またブゥン~ンって起動音が鳴ったかと思ったら今度は桜の花びらも落ちて新芽から葉っぱが早送りの映像を見てるかのように出てくる。
すっかり周りの気温も暑くなり流石に蝉は鳴いてないけど木々達も青々と茂り完全な夏だ。
「何コレ季節変えるスイッチなの?」季節変えるって人間がスイッチ一つで出来る事じゃない。なのにこのボタンはこれ一つで季節が変わってしまう面白さに囚われてつい次に秋から冬そしてまた春と次々に季節を変えてしまった。
すると、ゲームでよく違反行為をして出てくるような警告画面が空間上に何かのスクリーンがあるみたいに映し出された。後ろの景色はスクリーン越しに透けて見えてる。
そこにかわいいゆるキャラのような姿の神様が現れ「勝手にコロコロ季節を変えた罪で一回休みね!」と迫力なく可愛く告げられたかと思ったら・・・。
神様らしきゆるキャラが消えると同時に警告画面も消えた。
「1回休みって何だ?」と思いながらそろそろ下山しないと日も暮れてしまうので下山する事にした。

山の麓までは自分の自転車に乗ってきたので、麓からは自転車で帰る。自転車に乗ると心地いい風を頬や体に感じながら走っていった。

あまりの心地良さに調子にのりすぎていたのか?周りをあまり見ずに交差点に入ってしまった瞬間、走ってきた車に気づかず接触して救急車で運ばれた。
意識が半分遠くにある状態で集中治療室で治療を受けてる俺。
病院の先生と家族が話してる話し声が聞こえてくる。
「息子さんの体は無事何とか助かりましたが、頭を強く打たれたようで意識が戻りません。御家族も気持ちをしっかり持って希望を捨てずに見守ってあげてください。」って医者が家族に話してる。

俺は遠のきそうな意識の中、話せないけど先生と家族の誰かとの会話もしっかり聞こえている。
「そっか コレが神様の言うペナルティで1年1回休みって意味か・・・って事は目覚めるのが一年後って事か!!」と把握したところで目の前が砂嵐
そして俺の意識も落ちて眠るようにブラックアウト。
ブラックアウトしながら「一年後、目覚めた時俺はどうなってんだ?」と思いながら・・・。


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