初詣

「年越しにさぁ、星見に行こうよ どっか?」今日は大晦日で年越しデートに車で迎えに来た俺に彼女が行った。年越しデートって約束していたのでてっきり山奥の神社か寺に初詣行くのか山や海にご来光でも見に行こうと思っていたらいきなり今から星を見に行こうって誘う彼女にちょっと驚いた。彼女といると毎日がちょっとしたサプライズで驚かされる。

今からなら星を数時間見てご来光を見てから家に送り届けるのも悪いプランじゃないなって事で「じゃあ どこの星をみたい?」と聞いたら隣の県の山奥に星空の美しい所があるってネットで見たからそこに行ってみたいと言う。ナビで調べてみるとここから約1時間半くらいだ。
今から朝のご来光終わるまでとなるとなかなかの長丁場なので彼女のトイレの事も考えて山奥頂上近くトイレが最悪借りれそうな場所を一応検索しておく。
「近くのサービスエリアかコンビニは?」っと検索。なかなか良さげな場所を見つけたのでそこを目指して出発する事にした。

BGMとしてラジオでは年越しに向け誰かが楽しそうにハガキを読みながら話してる。世間の景色もラジオの内容もすっかり数時間後にする新年のカウントダウン準備といった感じだ。

通り道でコンビニを発見したので取り敢えず飲みもの、食料調達とトイレ休憩に寄っておく。どんだけ彼女のトイレの事を考えてるんだ俺?ってちょっと気を使う所を間違えてる自分に頭ん中で笑う。
彼女を大切にしたいって思うけど気を使う場所がまだ未だに分からない。
けど自由な彼女が好き。
大切にしたい。

「ねぇねぇ!!見て~!!まだフラペチーノ売ってる買っていい?」とか俺のこんな気持ちに気づかずにはしゃいで彼女が言ってくる。「これチョコミントのマカロンなんだって~!マカロンも食べたい~!!でも新年めでたい感じな時はやっぱりケーキ?」とかもう目がキラキラで選んでるけどそんなに食べれないし食べた後太る~涙。とか言って後悔する癖に楽しげに選んでる。
「やっぱりフラペチーノとマカロン買っちゃおう!マカロンは最悪食べれなくても持って帰ればいいし。あとフルーツジュースの味がする紅茶もいいな・・・。」とか選んでる。
彼女は悩み出すとキリがないので今持ってるカゴを取り上げてレジで購入し車に乗り込んだ。

「じゃあ、山頂にある温泉の駐車場をとりあえず目指すよ。」と車を出した。
山頂に行かなくても窓から見える星が綺麗な夜で運転してても心地いい。薄暗い車の中で車のオーディオライトに照らされる彼女の姿が感じれるのも心地いい。

信号待ちでたまに手とか繋ぎながら2人でかかるラジオのDJに突っ込んだりしてる間に夜中で閉まってる温泉の駐車場に着いた。
他にもここで星を見に来たのか家族連れや友達どうしのグループやデートらしい人影がチラホラいて携帯のアプリとかでも星座を調べて見てたりしてる。
誰か居る所は携帯が光って人が居るのが分かる感じ。

余りにも山奥すぎて街灯も消されて街の灯り1つも無くて月が1番明るく見える。
電気なんかない時代の人はどれだけ月の明かりに助けられたのだろうとか思ってしまう。「うーん やっと着いた~疲れたね。ちょっと外を散歩しよ」なんて言うから「運転してないのに疲れたって」なんて少し彼女に意地悪を言うと「だって疲れるものは疲れちゃうんだもん」と悪びれる所もなく言う。
そんな彼女がいい。

散歩していると山奥の中に天文台とプラネタリウムを兼ね備えた宿泊施設を発見すると彼女が「あっ!私が来たかったのはここ!!本当は泊まって星空観察したかったんだ」って言ってきた。「もっと事前に言えば先に予約して今日この施設の中で過ごす事も出来たのに」なんて俺が言うと「だって来る前にここに来たいなって思いついちゃったんだもん」と彼女は言った。まぁ、そんなもんだよななんて施設の途中の道で空を見上げながら「車で暖まりながら日の出待とうか?」って彼女に言って彼女と車に戻った。車に戻ってから俺が「日の出どっちから出るのかな?車見える方に移動させないとな~」なんて言ってると「そんなの登ってきたらどっかに太陽は見えるから明るくなってから考えたらいいし気にしなくても大丈夫だよ」と彼女。そんなのでいいのか?新年の御来光にこだわってるのは俺だけか?なんて思いながら彼女の言う通り移動せず話をする事にした。
せっかく2人で話をするので助手席の椅子を少し後ろにズラして1つの椅子で2人が引っ付く形で助手席に座った。
Hな事をする訳じゃ無いけどせっかく会ってるし寒いし近くで話したい。

ひっついて手を繋ぎながら星を見てる間にだんだんと空が明るくなってきた。
本当だ明るく見えてからそっちの方に歩いていけばいい。

「外に日の出 見にいこっか?」って彼女に言うと黙って頷いて外に彼女が出ていった。車の鍵を閉めて彼女のあとを追うように日の出を見に行く。
「お日様登ってきたね~」と笑顔で答える彼女。無邪気に彼女が登ってきたお日様に手を伸ばし「コレ宝石だったら超大きくない?」って指の上に乗ったように見せる姿が可愛くて思わずバックハグ。それに対して何事も起きてないような平気な彼女。なに?この温度差。
「そんな大きな宝石の指輪欲しいの?」って聞くと「デカすぎてもなんだかオシャレじゃ無いしやっぱり指輪は要らないかも」なんて言ってくる。相変わらず適当だなって思いながらもう一度彼女の指に太陽を乗せたように俺の手で持って行って「じゃあ、取り敢えず今日の指輪の宝石はこれしか無いんだけど俺と結婚してくれる?」と彼女に緊張しながら言うと「ひょっとして、コレで全部済ませようとしてる?マジかー!?」なんて冗談っぽく言いながら彼女はうなづいた。

新年の目標が決められた所で明日からの毎日がまた楽しみだ。

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