サウジアラビアの調整金とは?
こんにちは、四国のガソリンスタンド@藤田商店の今回ライターを担当させていただく田中です。
私は石油販売の営業をしていますので、ガソリンスタンドの知識とかお知らせではなく、今回は少しマニアックなお話しをさせていただきます。
本日のお題はタイトルの通り「サウジアラビアの調整金とは?」です。
みなさんが給油されるガソリンなどの価格に関係するお話です。
日経新聞などを読まれている方の中にはご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、原油価格、為替などの変動が石油製品価格に影響を与えますが、今年の春から業界内で調整金が話題にのぼるようになりました。
業界の方でも、知らないかたもいらっしゃいますので詳しくご説明させていただきます。
一言で表すと、サウジアラビアの調整金とはサウジアラムコ(サウジアラビアの国営石油会社)が販売する原油に設定する金額のこと。
わかったようで、わからないような?
サウジアラムコは5種類の原油を各地域に販売しており、長期購入契約者に対し公式販売価格=OSP(official selling price)を毎月発表しています。
日本ではアジア向けの地域になり代表的な原油はアラブライト(中質油種)となります。
OSPは固定値ではなくフォーミュラ(数式)で決定され、そのフォーミュラは(ドバイ原油+オマーン原油)÷2+αとなります。
これもわかりにくいですね。
これは中東の代表油種であるドバイ産原油とオマーン原油の平均値+αということです。
αの部分が調整金です。
原油価格は市場が決定するためサウジアラビアが独自に決められません。
そこで、αの部分を変動させることでプレミアムを付けるかディスカウントするかを決めています。
それを調整するから調整金です。
下の表は今年に入ってからのアラブライトの調整金の推移です。
見ておわかりのように、4月から調整金がマイナス圏に入っています。
4月から6月までの調整金に与える影響について見てみましょう。
● 4-5月
3月に行われたOPECプラスの合同会合において協調減産政策をめぐりサウジアラビアとロシアの2ヶ国間での合意が決裂。
サウジアラビアが大幅な増産に踏み切る。
4月積みの調整金を大幅にマイナス圏まで引き下げることによりシェア拡大を図る。
サウジアラビアの動向を受け他の産油国も増産に動き供給が一挙に増えた。
新型コロナウイルスの感染拡大で世界の経済活動が止まってしまいエネルギー需要が減少し5月積の調整金もさらに引き下げられた。
● 6月以降
4月にOPECプラスの合同会合が開かれ5,6月に過去最大規模の協調減産が合意された。
需給バランスが改善する見通しに変わり6月積調整金のマイナス幅を減少させた。
新型コロナの影響を受けていた世界経済に再開の動きが出始めてきてさらに需要が増えるとの見通しが強まる。
6月にOPECプラスの合同会合が開かれ6月末までの減産幅を7月まで延長することが決定される。
7月以降の調整金をプラス圏に回復させた。
このように、世界情勢もあいまって過去に類を見ないほどの調整価格の乱高下が起こりました。
じつは、コロナ以外でも歴史的なことが同時期に起こっていたんです。
いまの価格に影響する8月以降の調整金は、ほぼ横ばいで調整金だけで見るとそんなに価格が上がることはなさそうです。
ただ、10月よりワクチン接種が始まったり順次新たなワクチンの承認が増えてくると、新型コロナで停滞している経済が回りだす見通しで原油価格自体が上がっていくかもしれませんね。
原油のコスト状況と石油元売りの価格改定情報はTwitterにて発信しています。
https://twitter.com/fujitasekiyubu
興味のある方はのぞいてみてください。
今回は難しい話でしたけど最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。
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