「地下世界」のマイクロノベル 他3篇 #104
ほら、雨のあとにだけ現れるこの団地の地下部分、地底にも太陽があって地下世界が広がっている。そう学校で教わっただろう。古いな、それは遺伝で優性劣性って呼んでいた頃の知識。いまのトレンドは、天動説なんだ。
おーい、いっしょに連れて行ってくれ。わたしはここにいるんだ、と思うときがある。今日は秋の空開き、白き竜をはじめとして、さまざまなモノたちが青空を走る。でも、この地上には空にはない良いこともあるんだよ。
この天然の槍でマンモスを狩っていた頃、マンモスはいま知られているよりもずっと小さかった。この槍に倒されないよう、マンモスは大きくなる方向へと進化した。同時にこの槍を使っていた小さな人は滅んでしまった。
あのクヌギのドングリに投票したのはいつのことやったかな。なにしろみんな似てるからな、あのドングリに入れたつもりが、このドングリやったりしてな。さんざん審議して、当選したドングリは虫が喰うていたからな。
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