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「スズカケノキ」のマイクロノベル 他3篇 #76
スズカケノキの由来は、山伏の着る鈴懸衣の結袈裟につく球状の飾り――梵天に実が似ているからやそうな。そういえば、近所の烏天狗もときどき取りに来ておるからな。あんたも、身につけると空飛べるかも知れへんで。
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夜明けとともに、ホトケノザにつく霜の結晶をバケツいっぱいに集めて回る。これを溶かした水で炊いた米は特別だ。にぎり飯にして持っていくと、旨い旨いと阿弥陀さんが召し上がる。ありがたいことだ。南無阿弥陀仏。
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いまも残るカエデの種子。この羽根一枚で飛び降りるのかと思うと、正直こわい。舞い降りて、そこに地面がなかったらどうしよう。そして、土があったら春には発芽するんだな。もう少し、ここにいてもいいだろうか。
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教科書で習ったモヘンジョ・ダロの遺跡からは、綿布の切れ端が見つかっているそうだ。紀元前三千年頃、綿を栽培し布を織った人がいた。その種の子孫から作られたこの綿のTシャツを着ると古代都市の風が感じられる。
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