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「ネコジャラシ」のマイクロノベル 他3篇 #110

 あなたが欲しいのは、金のネコジャラシか、それとも銀のネコジャラシか。いえ、わたしが求めているのは、もう種子を落として芒だけになってしまったこの純粋ネコジャラシでございます。猫はゴロゴロと喉を鳴らした。

 冬晴れの公園、目をつむり陽の光を浴びて、ビオラの瞑想時間に混ぜてもらう。足元で土が笑い、風が歩いて行く。いい時間だ。深呼吸をし目を開く。このとき、もしビオラも目を開けていたら天変地異の予兆だと聞いた。

 ドングリ銀行はいいぞ。預けておいたら、こんなにドングリが増えた。しかも穴あきが多い、ということはドングリだけでなく、チョッキリやゾウムシも増えている! あとは好奇心に燃える虫好きが増えるのを待つばかり。

 青といえば青に、赤といえば赤に、世界はいわれるままの色に染まるようになった。美しく見えた色もやがて混じりあってくすみ、どどめ色となる。すると、それはマルベリーパープルという新しい世界なんだと囁かれる。

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