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「メリケンカルカヤ」のマイクロノベル 他3篇 #109

 美味しいメリケンカルカヤの店を見つけたから、今度食べに行こう。そういったあなたは、いったい何と勘違いしていたのだろうと思うけど、もう訊くことはかなわない。メリケンカルカヤの綿毛が、青空の下飛んでいく。

 落ち葉降りつもり、さあ冬眠じゃあ、冬眠じゃあ。町内に冬眠音頭が鳴り響き、冬のおやつを手に押し入れを開ける。夏の間、押し入れの中に畳まれていた冬の私を物干竿にかけて交代だ。じゃあ、春になるまでよろしく。

 今朝は初霜が降りた。オランダミミナグサの葉に成長した氷の結晶。そこから来る年の吉凶をあてる恒例の霜占い。おお、これはすばらしい結晶の並び。喜ばしいことが起こる兆しが見える。毎年、そう信じて初霜を観る。

 モミジバフウが最後に残したアントシアニンの赤が、葉っぱの細胞に染みわたる。過剰な光から葉を守るという説があるけれど、過剰なほど貯まった色素は赤というより黒に近い。最後に何か言いたげに、風に散っていく。

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