「純粋階段」のマイクロノベル 他3篇 #61
この囲いごと階段を切り出すと「純粋階段」ができるので、戦地に運んで設置する。市街戦に投入されているAI兵器は洒落が理解できずバグって機能停止するらしい。純粋階段は無用兵器として、いま注目を集めている。
空が割れたときに、亀裂を塞ぐ接着剤の販売を生業としている。もちろん施工も引き受ける。目立たないよう、夕焼け色のつなぎを着て、じわじわと空を脚で押さえながら登っていく。世界の裏側が見えて、少し恐くなる。
ネムノキの葉の影を掌に映し、即興で演奏できるのを知っているか。ほら、影が鍵盤のように見えるだろう。伸ばした小指の爪で掌を叩く。すると、手根骨から尺骨に響いていい音がする。弾けるのは、世界に二人だけだ。
あんた腕のいいヘビウリ使いだね。こんなに見事にとぐろを巻いたのは、なかなか見たことがない。あまり帰ってきてもらいたくないとか、訳あり精霊馬用に高値がつく。お盆に、そんな気の使われ方はされたくないもんだ。
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