小原さん
本人は嫌がる可能性が高いのですが特別お世話になった先輩なのでここに文章を残します。
「スーパーライト級で世界に一番近い人」
僕の第一印象はそんな感じです。
移籍したての頃はボクサーとしてレベルの差がありすぎて小原さんが何を話しているかさっぱりわかりませんでした。選手としての未熟さを痛感したのを覚えています。
同時に本気で上を目指すならこの人を超えていかなきゃいけないと思いました。
小原さんのウェイトを真似したり(びくともしなかった)、スパーリングで被弾したパンチを全部書き出したり、とにかく食らいついてやろうと必死でした。
藤田の方が分が良かったと言われるスパーをすることを一年の目標においた年もありました。
ついに辿り着いた!と思って映像を見たら小原さんが要所要所で同じ動きをしていて"練習"されてることに気付いた時もありました。あれは落ち込んだなあ。懐かしいです。
そんな小原さんもひと回り若い佐々木尽選手に敗れます。勝負の世界は残酷。現地で見ていましたが、「きっと小原さんの挑戦はここで終わりなんだ」と言葉に詰まったのを覚えています。
僕は小原さんの偉大なキャリアのほんの最後しかご一緒できませんでしたが、長い間自分の目標でいてくださったことに感謝したいです。
本当にお世話になりました。
どうも遠慮してしまって(決して怖い人ではないです)、2人で写ってる写真は同じ日に試合をした時のものくらいしかなかったです。
ただこの前の試合のマイクで、失礼を承知でリング上から感謝の気持ちを伝えることができました。
これを苦笑いと捉えるか喜びの微笑みととらえるか…。
そんな小原さんの引退式は明日後楽園ホールで行われるダイヤモンドグローブにて。もちろん会場へ行きます。小原さんなんて言うんだろう。
【さいごに】
小原さんがいまの僕と同じ歳の頃、敵地でカステージョと世界挑戦者決定戦を行い引き分け、翌年世界挑戦されていました。魔のスーパーライト級でアジア人が世界を獲るということがどれだけ難易度の高いことなのか、自分が一番わかっています。でも諦めたらそこで終わりなので。