後輩から学ぶ
こんにちは。鍛冶師の藤田純平です。
富士山ナイフの製造をはじめてかれこれ2年が過ぎようとしています。
この"富士山ナイフ"というプロダクトは、鍛冶職人の育成という大きなテーマがあります。
工場の職人全員が一緒に手を動かして後輩は先輩のやり方を見て学び、出来るように練習し、富士山ナイフの工程が身体に馴染んだ頃には他の刃物作りにも共通する基礎技術が磨ける!
というカリキュラム的要素があるのに加え、
工場として資金を稼ぐ力をつける事で 腕を磨きながら経済的にも自走していける仕組みを目指しています。
、、というのが表立ってのテーマであるのですが、今回は実際に2年間作業をしてきた僕から見る富士山ナイフの裏のテーマを覗いてみようかと思います。
・後輩から学ぶ
2020年 春、まったく新しくはるばる東京から鍛冶後継者がやってきました。
MUJUN WORKSHOPでは3人目の職人ですが、感覚的にははじめての後輩です。
(2人目は僕と半年しか変わらず経験値も豊富でアニキ的存在。)
この後輩の誕生で富士山ナイフも大きく意味合いが変わってきたように思います。
何点か変化はありますが、今回は1つのテーマし絞ります。
それは、後輩から学ぶという事です。
これは事実として後輩から手解きをうけるのではなく、なぜ自分には出来て後輩には出来ないのか?を紐解く際に得られる出来るロジックの深掘りについてです。
とある師匠が仰る言葉に
「弟子を持ってからが本当の成長だ。」
というのがあります。
なぜ自分には出来るのか?
逆に失敗するやり方にはどんなものがあるのか?
をしっかり理解しなければ、弟子に的確なアドバイスなんてできないでしょう。
「お前がなぜ出来ないのかはわからん。俺のやり方を見て学べ。以上!」
というのがこれまでの師弟関係のイメージだと思いますが、これでは出来た人しか生き残っていけず、。
というより師匠の技量がこれ以上上がる事はない!という前提の付き合いになってしまいがちです。
また別の角度で鍛錬を積みレベルアップしているのは間違いないと思いますが、せっかく弟子がいるのなら自分にとっても成長できる関係でいられた方がずっと得なはずです。
、と勝手な想像の話ですが、自分はこういった師匠(先輩)にはなりたくないなと常に思っています。
富士山ナイフの話に戻りますが、実際に2年間作業をしてきた中で、たーーーーっっっくさんの失敗を経験してきました。
その経験を経た今の技術ですから、後輩がやらかす失敗には大抵見覚えがあるものがあります。
それらには何も口出しせず微笑ましく見守っているのですが、問題なのは身に覚えのない失敗をやらかした時です。
いや、これはチャンスと言うべきですか。
なぜこうなった!?と予想だにしない展開になった時には自分では気づけなかった失敗のロジックを学べるチャンスだ!!と内心ウキウキしている反面、なぜ!?の問いにひたすら向き合い続けて頭フル回転の自分。。
時にその疑問は幾日にもわたる事もありますが、解決できた時には工場全体でレベルアップしたような気がして、とても嬉しいのです。
結果!富士山ナイフは個人としてのレベルアップに加え、工場全体の知識・経験の積み重ねに大きく貢献しているプロダクトである!!
後輩や地域の職人さん、インターネットの情報も取り入れながらMUJUN WORKSHOPは日々成長し続けています。
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上手くいくだけが正解ではなく、失敗を積み重ねてこそ高い壁をも乗り越えられる芯のあるチカラが身につくのです。
こういった鍛錬は分厚い本を読む行為に近く、1人で読破を目指すより何人かで手分けしてそれぞれが読んだページに書いてあった事を皆で共有する方がきっと効率的で質も良くなるでしょう。
これをシェアリングタイムといいます。
1人の経験を皆で味わい飛び級で成長していける仕組みを目指していきましょう!
今後の活動資金にさせていただきます。