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「ゆうちゃんのノート」を書いたきっかけ

自己紹介でも書いたように、「ゆうちゃんのノート」が私にとっての初めての絵本でした。
そんな「ゆうちゃんのノート」の物語をどうして思いついたのかを書こうと思います。

この作品、様々な文房具が登場して、それぞれ自分勝手な自慢話をします。題名となっている「ゆうちゃん」も「ノート」も出てきますが、セリフはありません。どちらかといえば、ほぼエキストラ状態です(笑)。そして、最大のポイントは、”主人公は文房具ですらない” ということです。

こんなしょうもないネタが、どういうわけかひらめきました。「本当の気持ちって、あんがい消しちゃうよなあ」って。だって・・・

ダラダラと長い会議中、「はやくおわれ」とか「つまんない」とか、会議資料の端にため息つきながら殴り書きして、それを消したりしたこと、ありませんか?
幼いころ、ドキドキしながら気になる子の名前を書いて、少し微笑んで、みんなに見つからないうちにさっと消したこと、ありませんか?
作文や感想文を書いたら、先生に「ここはそうじゃなくて、こう直しなさい」とか意味不明な指導を受けて、結局自分が言いたいことが原稿用紙のどこにも残っていなかったこと、ありませんか?

なぜかそんな経験が頭のなかを駆け巡ったんです。それが、「ゆうちゃんのノート」の誕生でした。

まさか受賞できるとは思ってもいず、連絡をいただいたときは仕事中だったので、つっけんどんな口調で電話にでてしまったことを覚えています(苦笑)
それからは、いろいろ勉強でした。

結局、完成品は応募原稿の半分以下の文量になっています。
文字ではあえて表現せず、素敵な絵に任せて、読んでくれた人にイマジネーションを広げてもらう――そんなことも今回の出版に至るまでの編集で学ばせていただきました。

物語を創るって、ほんとに楽しいですね。
どんなあり得ないストーリーを書いたっていいし、特に幼年童話なら、「食育」はもちろん普通の物語では扱わない「便育」だって面白おかしく表現できますし。そんなことを、還暦になる、どこからみてもただのおじいちゃんが、自由に想像して楽しんで書ける――それが何よりの幸せです。

そんな幸せが、カタチ(商業出版)になればいいなと願っています。ぼけないうちに(笑)

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