オシャレは我慢?
8月末で予定していた友人の結婚式が台風直撃により中止となった。そこで身に付ける予定だったヒールの話をしたい。
8月中旬、店などちゃんと調べずルミネ新宿に向かった。普段ヒールを履くような服装はしないが、せっかくだからと普段使いできそうなものを選ぼうと思っていた。青のドレスだから黒色はなんだか暗いし、白はキレイめのサンダルで持っているしなぁ。かと言って無難そうなベージュには惹かれない。そこで一際目立っていたのがまっ金色のピンヒール。光沢があり派手に見えそうだが、ラメが控えめで上品。これならどの色にも合いそうだ。
私はうまい接客をされると簡単に購入してしまうチョロいやつだから、店員にバレないように遠目で触れずに見ていたのだが、お見通しなんだろうな。気が付けば30分後にはゴールデンピンヒールは箱の中にいた。7㎝?はたまた9㎝?履いたこともない高さは5を超えてくると正直どっちでも良かった。(後々、気になって定規をあててみたが、どこを0とするか分からず諦めた。)
試着で店内を何周も歩いてみたが、意外や意外、全く辛くなかった。社会人になって履くようになった数cmほどのヒールでも耐性がつくのだろうか。意識せずとも姿勢が良くなり女っぽさが増したような気がして気分が良かった。購入の決定打となったのは『アクセサリー感覚で身に付けられますよ。』の店員さんの一言だった。なるほどな。ちなみにその店員さん、東京在住なのにユニバが好きすぎて年パスを持っているらしい。
3週間後、出番を失ったあいつの存在をふと思い出した。薄暗い箱の中に閉じ込められたあいつに外の空気を吸わせてやろう。そもそも結婚式までに一度も履いていないなんて、私はなんてリスキーなことをしようとしていのだろう。試着用と新品は似て非なるものである。まるで漢字の萩と荻のように。
たくさん歩くような時はスニーカーに限るし、人との約束がある時に、足が痛くなって気を遣わせるのは避けたい。個人的に予行練習に持ってこいだと思ったのが、偶然前週にチケットを取っておいたお笑い鑑賞だった。座席に座ってしまえば公演中の1時間半は動かないし、ルミネの中だから駅まで歩けば良いだけだ。
とは言え、お笑い鑑賞に、見るからに一張羅というのもなんか嫌。そこで私はあえて彼氏に借りたようなビッグサイズのBeatlesのTシャツに、紺のワイドストレートデニムを合わせて、サンダル感覚で履いてますけど何か?と言わんばかりのルーズな格好に決めた。
玄関で左、右の順でそーっと足を入れると、ん?縦はええけど横幅ちょっときついな、まあ新品やからしゃあないか。と自分に言い聞かせて家を出た。
3分ほど歩いたところで、痛っ!痛すぎる。玄関での違和感は間違っていなかった。恋愛と一緒で、初期段階の違和感は信じて疑わない方がいい。
いつものビーサンに替えに帰られる距離だったが、1分たりとも公演に遅れたくなかったためそのまま歩き進めることにした。ショーウィンドウに映る自分を見ては"良い女だ"と心の中で唱えたが、正の感情は痛みを帳消しにすることはできなかった。
結局、いつもなら駅まで7分で着くところを倍ほどかけてしまった。真の良い女ってすげえ。私にはまだ遠そうだ。まずはすげえ、と言う言葉遣いの是正から始めような?
数分満員電車に揺られ、できあがりかけの水ぶくれたちのことを考えていると、あっという間に新宿駅。席に着く頃には無名の芸人が前説を行っていた。その間私は手探りで両足に4枚の絆創膏を貼った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?