漫才詩集「38」
01 アラーム
漫才の音で目覚める朝は
なんて寝起きがいいんだろう
02 笑えない日
笑えない日にも漫才を見る
笑うためじゃなく 泣くためでもない
彼らは年甲斐も無く
本気でくだらないことを言っている
それを見て
泣きながら 笑う
03 お笑いナルシスト
ナルシストの顔は
格好いいのかもしれないが
心から格好いいと思えない時がある
お笑いナルシストの漫才は
おもしろいのかもしれないが
心から笑えない時がある
04 舞台
舞台の幕が上がる
また始まるんだ
やれるだけのことはやってみよう
自分に言い聞かせる
勢いをつけ 舞台に飛び出す
自分の立ち位置へ向かう足取りは
決して軽いものではない
目の前にはマイク
となりには相方
いつもと同じ
そう いつもと同じように
とにかく大きな声を出してみよう
その後のことは
その後で考えればいい
05 笑われる 笑わせる
漫才とは
笑われたり笑わせたりすることではなく
ただそこに「笑いが在る」ということである
06 誤解
自分の信じた笑いを追求することと
自分がおもしろければそれでいいと思うことは
似ているようで全然違う
07 オチ
オチがしっかりとしている漫才は
後味が違う
08 独特
最も自分らしい漫才を
自然に演じられるようになった時
人はそれを「独特」と呼ぶようになるのです
09 独特のスタイル
素のおもしろさを
漫才に「昇華」できたとき
独特の漫才スタイルが生まれる
10 美しい漫才
立ち姿の美しさ
言葉遣いの美しさ
立ち居振る舞いの美しさ
美しい漫才は好きですか?
11 スーツ
スーツを着て ネクタイを締め
まじめな顔で 舞台に飛び出す
ここまでは
まったくおもしろい要素のないおじさんが
まったくおもしろいことをしてくれるものだ
12 ボケとツッコミ
ボケてくれないと
つっこめないよって
君は言うけど
君がつっこんでくれないと
僕だってボケられないと思うよ
たぶんね
13 ツッコミ
愛のないツッコミは 人を傷つけます
愛のないツッコミから生まれる笑いは 嘲笑です
愛のないツッコミは 人を救いません
愛のないツッコミは ツッコミではありません
「ツッコミ」とは 愛なのです
14 拾ってみよう
だれにも拾われず
こぼれ落ちてしまっている
たくさんの「ボケ」を拾ってみよう
優しさという名の「ツッコミ」で
15 相方
誰よりも
相方を笑わせたい
そう思う時がある
16 静と動
漫才師なら
ほとんど動くことなく
ただマイクに向かってひたすらしゃべる
そんなネタを2,3本は持っていたいものだ
17 動と静
舞台いっぱいに動き回り
最後になってやっとマイクの前に帰ってくる
そんな漫才もたまにはいい
18 疲れをとるために
疲れをとるために
ゆっくりと
少し長目の
漫才を見る
19 無限
漫才は無限である
20 限界にも限界がある
あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】