[カバー漫才] 夢路いとし・喜味こいしがフットボールアワーの名作漫才「焼かんでええやん」をカバーしたら…
なんでもかんでも焼きたがるいとしさんと,それをいちいち注意するこいしさんのやりとりをお楽しみください
オチの分類:途端落ち
夢路いとし:こないだ町を歩いてましたら…
喜味こいし:はいはい
い:ものすごい大きな人が僕の前を歩いてたんですわ
こ:背高い人か
い:背だけやなしに横もこんなんあってやな,指もこんなんで,焼きいもくらいありまして
こ:ずいぶん太い指やな。さつまいもくらいあったんか
い:ほぼ焼いもですわ
こ:さつまいもっちゅうことやろ?
い:「焼きいも」言うてるやないか
こ:焼かんでもええやろ
い:「焼かんでもええ」とは?
こ:指の大きさの話してるんやから,さつまいもでええわいな。わざわざ焼かんでも
い:わざわざ焼いてるわけやないわ。その人の指見て「焼いもみたいや」思うただけや
こ:「焼いもみたいや」思うたんか
い:思いましたよ
こ:ホクホク感あったんか
い:あるかそんなもん。指やで。ホクホク感ある指なんてあるわけないやろ
こ:分かっとるわ。だから「さつまいもでええ」言うとるんや。君がわざわざ焼いてくるから「ホクホク感あったんかな」思うやろ
い:いちいち細かいことを言うな。君は器が小さい
こ:で?その体の大きな人がどないした?
い:あの体の大きさでや,下げとるポーチがこない小さいんですわ
こ:たまにおるな。「そない小さいポーチで足りるか?」いうくらい小さいポーチ下げとる方やろ?
い:それがちょうど焼きおにぎりくらいのポーチでやなぁ…
こ:焼かんでええって
い:何が?
こ:なんで君はすぐ焼くんや
い:何がや?
こ:おにぎりでええやろ。ポーチの大きさなんやから。なんで「焼きおにぎり」言うんや
い:そない言われてもやな,「この人のポーチ焼きおにぎりみたいやな」思うたんやからしゃあないやろ
こ:ちょっとこんがりしてたんか
い:してるか。ポーチやで。こんがりしたポーチなんてあるわけないやろ
こ:分かっとるわ。だから「おにぎりでええ」言うてんねん
い:焼いたらあかんか?
こ:焼かんでええやろ。なんですぐ焼きたがんねん
い:焼きたがってないわ。偶然や。君そんな細かいことばかり言うて頭固い。もっと柔らかくせんと。焼きプリンくらいに
こ:だから「焼かんでええ」言うとるやろ。今焼きにいったな
い:焼きにはいってない
こ:今君の方から積極的に焼きにいったやろ
い:たまたま出てきた例えが焼き上がってただけや
こ:「たまたま出てきた例えが焼き上がってた」ってどういうことや。「頭を柔らかくしろ」言いたいんやったらプリンの方がええやろ。焼いたらその分硬くなるんやから
い:プリンも焼きプリンも変わらんやろ。いちいちうるさい
こ:君がいちいち焼いてくるからや
い:君はほんま細かい。子供の時分からそや。焼き豆腐の角に頭ぶつけて死なんと治らんのやろ
こ:それを言うなら「豆腐」や。なんで焼くねん。「豆腐の角に頭ぶつけて死ね」っちゅうことわざや。ことわざ勝手に焼いたらあかんやろ
い:ことわざ焼いたらあかんの
こ:あたりまえや。「柔らかい豆腐の角に頭をぶつけても死ねん」ということに意味があるんやないか。焼いたらちょっと致死率上がるやろ
い:致死率上がるんならちょうどええやないか
こ:何が「ちょうどええ」ねん
い:気持ち固めのお豆腐の角に頭ぶつければ,君のその細かい性格治るかもしらんやろ
こ:君ねぇ,変な焼き癖ついとるから,焼かんように気をつけながらしゃべりなさい
い:「焼き癖」てなんやねん
こ:とにかく焼いたらあかん
い:そうは言うても,君は人生の最後に焼き豆腐の角に頭ぶつけて死ぬことになってるわけやから…
こ:なってるか。なんで僕の死因「焼き豆腐」やねん。「焼き豆腐による撲殺死」って…死んでも死にきれんわ
い:そんな君に聞きたいことがある
こ:なんや突然
い:焼き豆腐の角に頭ぶつけて死ぬ前に,食いたいもんあるか?
こ:だから,人の死因を勝手に決めるな。僕はそんな死に方はせん
い:それは分からんやろ。何が起こるのか分からんのが人生や
こ:そやけど,焼き豆腐の角に頭ぶつけて死ぬやつなんておらんやろ
い:まぁでも人はみないつか死にますから,死を意識して生きたほうが有意義に生きられんねん
こ:急にまじめなこと言い出しな
い:で?何がええの?
こ:何がや?
い:だから,「焼き豆腐の角に頭ぶつけて死ぬ前に,食いたいもんあるか?」っちゅう質問や
こ:「最後の晩餐」っちゅうことか
い:それや。最後の晩餐。何が食いたい?
こ:最後ということであれば,妻が作る卵焼きがええかな
い:それはあかん
こ:なんでや
い:卵焼いてるやろ
こ:あたりまえや。卵焼きは卵焼くに決まってるやろ
い:人には「変な焼き癖ついとるから焼いたらあかん」言うておきながら,君は焼いてええんか
こ:これは焼かなきゃあかんやつや
い:焼かんでもええやろ。生でも食えるわ。新鮮な卵なら
こ:おかしいやろ。なんで最後死ぬ前に,妻が割った生卵飲み干さなあかんねん
い:相方であり何より兄貴でもある僕には「焼くな」言うておきながら,元々は赤の他人である嫁はんには卵焼かせるなんて許されへん
こ:そんなくだらんことでやきもち焼くな
い:また焼いた。今度は餅を焼いてきよった
こ:だから,これも焼かんとあかんやつや
い:「やきもち焼くな」言わんでもええやろ。「もち焼くな」言うたら
こ:「もち焼くな」やったら餅焼いとる人注意しとるだけやないか。君にはいくら説明しても無駄やわ。焼け石に水や
い:また焼いとる!石まで焼いとる!
こ:そういうことわざや
い:「ことわざ焼いたらあかん」言うたんは君やないか
こ:元々焼いてないことわざは焼いたらあかんけど,元々焼いてあることわざは焼かなあかんねん
い:ことわざに「焼いてあるとか焼いてないとか」あるんか。「石に水」でもだいたい意味分かるやろ。わざわざ石焼かんでも
こ:それやとただ石が水で濡れてるだやがな
い:人の「焼き癖」注意しておきながら,卵に餅に石まで焼いとるやないか。君の焼き癖のほうがよっぽどたち悪いわ
こ:僕が言うてるんは全部焼かんと成立せえへんやつや。焼かなあかんねん
い:君がそういう汚い手使うんやったら,僕もぎょうさん焼かせてもらいまっせ。最後の晩餐は「焼き物ずくし」ですわ。たこ焼き,お好み焼き,もんじゃ焼き,焼きそば,焼うどん,焼きラーメン,焼肉,焼き鳥,焼き豚,それから…
こ:焼きすぎや
い:君に注意されて焼くの我慢しとったんや。最後の晩餐は気がすむまで焼かせてもらいますわ。鉄板焼き,生姜焼き,ステーキ,焼き魚,イカ焼き…
こ:あのなぁ,「最後の晩餐」っちゅうんは一つって決まってんねん。そない何種類も選んだら「最後の晩餐」の意味ないやろ
い:最後くらいええやろ,好きなもん食うても
こ:好きなもん食うたらええ。ただし一つや。「最後の晩餐」っちゅうんはそういうもんや
い:今度は「一つしかあかん」って,君はほんま小さい男や
こ:そういうもんや
い:君,あれくらい小さいわ
こ:「あれ」てなんや
い:煮込みハンバーグくらい小さい
こ:煮込まんでええ
漫才の仕事依頼はこちらから