ブルックナー交響曲第4番

 指揮者はオイゲン・ヨッフム。形式美に彩られた音の粒がダイナミックである。練り上げられてつくられた曲。職人技としてのブルックナーのなかで鳴り響いていることを感じることができる。この型はモーツァルトと比較してみると面白いと思われる。モーツァルトは歌を歌い上げるように曲を作曲するが、ブルックナーはかなり苦心して作曲しているように思えてならない。これは別にモーツァルト苦心していないというわけでは決してない。モーツァルトがワインであったらブルックナーはさしづめ日本酒であろうか。丁寧に磨き上げられたブルックナーの交響曲の作品群は日本酒の「うま味」を味わうことができるであろう。特に交響曲第4番を聴くとその「うま味」が重厚に表現されているように思えてならない。
 しかし、ブルックナーの交響曲はどれもこれも長大で「のんベンだらり」としている感が否めない。モーツァルトは大衆や貴族を意識しているためか、まあるく、やわらかく、コンパクトに感じられる。
 ブルックナーの交響曲を聴くと考えさせられることが多い。それは、作曲における建築法である。大風呂敷を広げて、細やかな箇所をリライトして築きあげた作曲法なのである。親友から届いたヨッフムのライヴ盤を聴いて感じた事を書いた。

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