結城カフカくんとの対話の物語その1

 ぼくは自閉症だった。カフカに関する知識ならば何でも知っていた。「世間」と交流を持たないといけないと両親からこっぴどく言われ続けてきた。その結果、ぼくはカフカの小説をよく読み教養をつけることでアイデンティティーをとりあえずつけることにとりあえずつけるようになってしまった。カフカについて研究している結城カフカくんと大学のサークルでいっしょになった。ぼくは自分の進路を考えたときに小説家になろうとこころにきめていた。1日5時間小説をとりあえず書いていった。

 自閉症のためにみんなとは違ったものの見方をしているらしく、「おもしろい」とか「変な小説」という意見が多かった。そして、舞台のシナリオも書くことが友人の結城カフカくんフォローによって執筆することができるようになっていった。演劇には関心があったし、よく芝居を観にいっていた。あと、オペラがぼくは好きだ。モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』やリヒャルト・ストラウスの『ばらの騎士』がお気に入りであった。

 ガールフレンドにみゆきさんがいた。みゆきさんはドストエフスキーについて大学で学んでいた。ぼくは学校という場所になじめず、ずっと本を読むか小説を書くことで魂を浄化していた。みゆきさんはハードロックが好きでレッド・ツェッペリンを愛していた。

 ぼくと結城カフカくんとはカフカの作品を読書会でとりあげ「精読」していった。読み終わるのに3ヶ月間かかることもざらだった。

 みゆきさんはドストエフスキーも好きだったが、ラテン・アメリカの作家であるガルシア・マルケスの『百年の孤独』も大好きで、オペラを聴きながら読みすすめ、いくつかのレポートを書いていた。そしてクリスチャンであったので毎日、聖書をちびりちびりと読んでいた。みゆきさんが聖書のなかでも好きなのは「知恵文学」とよばれている『箴言』、『伝道者の書』そして『ヨブ記』であった。この3つの聖書の文章をとくにじっくり読み身体にしみ込ませるようにしていた。

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