芥川也寸志 交響曲第1番
これを聴いたとき衝撃がぼくの中で走ったデモーニッシュな音楽で力強い。チャイコフスキーを連想させるモティーフでメランコリックである。映画音楽に近いのかもしれない。音楽が語っているのであhる。それもかなり雄弁に。しかし、繊細さを欠いているわけではない。緻密な構成でかなり神経質なつくりとなっている。
基本情報としてこの交響曲は1954年に芥川が團伊玖磨、黛敏郎とともに組織する作曲グループ「3人の会」の第1会公演に、東京交響楽団を芥川自身が指揮して発表したが、翌年の12月8日の東京交響楽団にさらに4楽章に改作して発表した。
第1楽章・アンダンテ
導入部でクラリネット・ソロが吟味された無調的なメロディーを数小節ふく。それは次第にふくらみを増して、オケが調和するようになると、この交響曲のテーマとなるメロディーがうかびあがってくる。静かになると、フルートとオーボエが第2主題を奏でる。
第2楽章・アレグロ
16分音符のとりとめのない楽句が弦楽器隊および木管楽器群によってすばやく奏される。しばらくすると弾むようなリズムによって、弦楽隊の明朗な舞曲風の旋律が姿を現す。その旋律の反復が終わると、弦楽器隊が全部できわめて特徴ある原始的リズムを奏でる。
第3楽章 コラール
非常にゆるやかな楽章で暗い陰気な内容となっている。これはコラールという題名がつけられていることによって、犠牲者に対して祈祷的な意味合い持つことが想像される。
第4楽章・アレグロ・モット
この楽章は芥川の洒脱な性格が最も明瞭にあらわれている部分である。曲はきびきびしたリズムでスマートな主題があらわれる。そして力強い終わり方である。
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