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直感の詩

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手書きのモレスキンのノートに書いてある詩を書き綴ります。
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2016年10月の記事一覧

歩き回る詩人

ロジックで理論武装した詩人がいた

ロイド眼鏡ををしたひょうひょうとしたたたずまいだ

感性で動きたいがロジックが剃刀のようにじゃまをする

それは僕なのだろうか

文体の精度をあげるたびに

あたまのなかがぐるぐるまわる

友人には法学部の理論家がいた

チェスをやっていて数学理論とかぶせようとしたがだめだった

SNSつかれが僕をおそってくる

未来がみえない不安

つながりをとても感じられな

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ゴルドベルク変奏曲

ぼくはチェスしかできない

しかし友人のルージンは数学ができた

ルージンの友人のペトロフはチェンバロを弾くことができた

みんなバッハが好きでこころの奥から愛していた。

ぼくは人と関わることが嫌でチェスのできる小説家になった

 

ルージンは「この小説はボルヘスに似ているね」

とぼそりとぼくの原稿を見てつぶやいた

スパイを創る小説家

ぼくはスパイを創り上げる小説家に出会った

彼は紳士だが女性好きで仕方なく

飲んだくれだった

しかし彼には理想像があった

自分の奥義を表現したかったのだ

かれは作家というよりもおもしろいことの蒐集家だった

国家の安全を守る任務につくそれが彼の宿命だ

とてつもなくハデだかとてつもなく地味なお仕事 それがスパイだ

私はそれをイマジネーションするしかない

汚い仕事が多く知力をつかう

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暗殺者

ぼくは平和を求める暗殺者だ

妻を亡くした

怒りに身をまかせて

ガンをにぎりぶっぱなす

ガンはなぜ存在するのか

人間を堕落させるためなのか

人間をあっというまに昇天させる

弾切れだ

もう幕があがる

眠りの大切さ

主にまかせて眠ろう

すべてをみにまかせて

眠れなくても焦らなくてもいい

明日はきっとくる

次の日の夜明けはきっとくるのだから

人生はながい