紙の本になるということ
藤沢うるうです。
12/2に味なたてもの探訪シリーズ第3弾『復興建築 モダン東京をたどる建物と暮らし』(栢木まどか監修)がトゥーヴァージンズさんから発刊されました。
今回、本書の執筆のお手伝いをさせていただきました。
私は第二部のインタビューのキャプションの一部や、第三部の建築マップの現存する建物の紹介文を担当しています。
本書の紹介はこちらに詳しく載っているのでご参照ください。
一介のTwitter廃人がなんで執筆するようになったのかとか、やってみての感想とかTwitterにつらつら書いていこうと思ったら、それなりの分量になってしまったので今日は久々にnoteに投稿します。
最初は1通のDMからでした。
出版社「突然連絡失礼します~~藤沢様の~拝見し~~企画がありご相談したく~~~(以下長文)」
わし「(え、なにこれ?怖っ?)」
突然のDMでした。
はじめは自費出版でお金を稼ぐ出版社の営業活動かと思ってました。
ただDMの中で「看板建築」の本が既刊本として紹介されていて、あぁこれ以前読んだことあるなと思い出し、まずは話を聞いてみようということになりました。
編集「東京の近代建築の紹介する原稿を書いていただきたく」
わし「(原稿書いたこともないし、〆切まで時間もないしなぁ)うーん。」
編集「1つあたり140字程度です」
わし「(それってつまりTwitterと一緒では?)やるやる!」
――ツイ廃は140字という言葉に弱かったのです。
140字ならこれまでも書いて(つぶやいて)きたし、掲載リストみたらほぼ全て訪問したことがある場所だったので、手持ちの資料からおおよそ書けるだろうと思い、まずは「できる」と判断。
次に「やりたい」かどうか。これは即答「やってみたい」でした。
その理由としては2つありました。
1点目が普段Twitterで「古い建物を遺そう!」とつぶやいる中で、故なく解体されていく建物や、存廃が揺れる建物を見るにつけて自身でも何かできないか、という思いは以前からありました。
Twitterやブログで近代建築を紹介したり、てくてく建築と称して街歩きをしたり、イケフェスのボランティアしたりということをしてきたのですが、今回の執筆でも、この本を手にとってくれることで近代建築や町の歴史に興味関心を持つ人が増え、近代の歴史の証が少しでも生きながらえることができるのならと思い、協力させていただこうと思いました。
2点目が、公私ともにネットの海に漂う人間なので、紙に残るような文章なんて書いたことがなかったことでした。自分の文章が製本されるのは高校の生徒会誌(?)以来です。
近年は電子書籍やデジタルアーカイブ内の本ばかり読んでいた一昔前に比べ今年に入ってから紙の本で読むほうが増えてきて、紙本の魅力を再発見していたのもあります。
手に持った感触とか、読後感とか。(あとメルカリで売買しやすいとか)
自分の名前が本に載ったらどんな気分だろう、と自分のわくわくのために取り組もうと思いました。
こうしたことから、納期1ヶ月の原稿を引き受けたのでした。
とは言え、60件以上のキャプションを調べて文章に起こすのは中々大変で。
コロナ渦で国会図書館の入館は抽選、都立図書館は入場制限がかかってていて、文献探すのにまず苦労しました。
そして資料を集めたら集めたで今度は140字で収めないといけない。おすすめポイントが多すぎる!Twitterならツリーにすればいいけど、本だとそれができない!
推しポイントを厳選しなければならないのはそれはもう断腸の思いでした。(一方で、どれだけ探してもほとんど情報がない建物もあったり…)
インタビューにも同行させていただいて、オーナーの貴重な話を伺ったり、普段見れない場所を見せていただいたり(無理言って見せてもらってすみません💦)して貴重な経験ができました。
突然呼ばれてふらっとインタビューに行ったのですが、名刺がなくて困りましたね…。「いつも元気な藤沢うるうです!」みたいな勢いだけの挨拶で無理やり押し通しました。
こんなリアルで人と対峙する機会があるとは思わなんだで、思わず名刺作ってしまいました。(なお作ってから名刺交換する機会は得られry)
見本誌が届くまで「紙に残る文章を書く」というのがあまりイメージできてませんでしたが、見本誌が送られてきて自分の書いた文章が載っているのをみると、なんとも言えない高揚感を感じますね。
例えるなら論文を書き終えた時のような感じ。
これが!これが同人誌を書く人の気持ちだったのか!
頒布することじゃなくて形にすることが目的の半分というのは言い得て妙な表現です。
見本誌が届いてから初めて全編を通して読みましたが、東京の都市史のプロフェッショナルである栢木先生が監修しただけあり大変ボリュームある内容で、帝都復興計画について各方面に充実した記載がなされています。
#私自身も復興病院なるものの存在は知りませんでした。。
東京の近代史を語る上で外すことのできない関東大震災と帝都復興。その歴史を思い返すとともに、現代に残る面影を本書を片手に街歩きしてみてはいかがでしょうか。
こういう機会を与えてくださった編集さんにはほんと感謝です!『好きを貫けば道は拓ける』ということで投稿を締め括らせていただきます。
最後に。紙面にも掲載されている東書文庫の館長さんがインタビュー後に喋った一言が印象的だったので紹介します。
『電子データは劣化はしないが、規格が変わりすぐに見れなくなる。
紙の本は2000年経っても残るから、紙の本はなくなることはない。』
どうもありがとうございました。