【受援力】を高める備え
※本記事は、藤沢市市民活動支援施設情報誌「F-wave」2024年10月号の特集記事を転載したものです。紙面全体は以下のリンクよりご覧いただけます。
地震や水害が全国各地で起きています。
テレビなどで被災地の様子を見ていると、「災害ボランティアセンター( 以下、災害ボラセン)」が立ち上がり、「災害ボランティア」の皆さんが家屋の片付けをしたり、炊き出しで配膳をしたり、被災者の支援に励んでいる様子など、災害ボランティアや災害ボラセンに関する報道を見るようになります。
それを見て「災害ボランティアとして現地に行くべきなのだろうか」と思うのと同時に、「自分たちが被災したら災害ボランティアの皆さんは助けに来てくれるのだろうか?」と半信半疑に思うこともあります。
そこで今回は、「特定非営利活動法人 藤沢災害救援ボランティアネットワーク( 以下、FSV ネット)」代表の大田哲夫さんに、災害ボランティアや災害ボラセンについてお話を伺い、自分たちが被災した際に援助を受ける力【受援力】について考えたいと思います。
災害ボランティア派遣までの流れ
Q. ボラセンはどのように立ち上がるのでしょうか?
太田さん「災害ボラセンは、被災者と災害ボランティアをつなぐ場所です。藤沢市では、『藤沢市』、『藤沢市社会福祉協議会』、『FSVネット』の三者が協力して災害ボラセンを開設・運営します」
「『藤沢市』、『藤沢市社会福祉協議会』、『FSVネット』三者それぞれの災害ボラセン立ち上げ時の役割は、藤沢市が『被災地の情報を集めて、災害ボラセンの立ち上げする/ しないを判断』、藤沢市社会福祉協議会が『被災者のニーズ集め』、FSVネットが『災害ボランティア集め』です。
住居被害などの状況により、災害ボランティアによる支援が必要な場合は、災害ボラセンに派遣の要請をしてください」
Q. どのように災害ボランティアが派遣されるのでしょうか?
大田さん「FSVネットでは、災害ボランティア派遣にまつわるトラブルを未然に防ぐため、派遣する前に各災害ボランティアの方々とお話しをして審査しています。
災害ボランティアの方の特技や想いを伺って被災者からの派遣要請内容とマッチングを行い、ボランティア保険の加入状況などを確認しています。
審査を通過した災害ボランティアには災害ボラセンで発行したボランティア証を持って活動していただきますので、災害ボランティアを受け入れる方は是非ボランティア証を確認してください」
上手な災害ボランティアの受け入れ方
Q.3 災害ボランティアをどのように受け入れると良いですか?
大田さん「災害ボランティアの皆さんと心を通わす対応をしていただきたいと思います。
災害ボランティアの皆さんは『自分が人のために役に立ったこと、役に立ったと被災者の方に認められたこと』を感じたくて被災地にいらっしゃっています。
認められた・感謝されたという体験が災害ボランティアに来た方にとって『人としての財産』となります。
東日本大震災で親に促されて災害ボランティアへ行った高校生が、被災したおばあちゃんから感謝の言葉をもらうと、おばあちゃんと一緒に泣いていました。このような体験は、その高校生にとって一生の宝物になったに違いないでしょう。
受け入れ上手になるためには、事前にご自身で災害ボランティアとして現地に行って体験することが一番です。ボランティアと受入者とがお互いに理解しあえる『受援力』を身につけてほしいですね」
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FSV ネットでは、日ごろより藤沢で災害が起きた場合を想定し、災害ボランティアの受け入れ訓練や被災者ニーズとのマッチングの訓練、活動のアピールをしています。
藤沢市では、市全体の災害ボラセンだけではなく、各地区にサテライトセンターを立ち上げます。各地区でサテライトセンターが立ち上げやすくなるように、地域の住民や地区社協などに理解を呼び掛ける活動を行っています。
また、FSVネットでは、災害ボランティアと被災者からの派遣要請内容とをマッチングする「ボランティアコーディネーター」の養成講座を市内で年3~4回実施していますので、是非ご参加ください。
取材・記事作成/支援施設サポーターF-wave 班
トップ画像/被災者相談窓口でのボランティア派遣要請の聞き取り訓練
団体紹介
(N)藤沢災害救援ボランティアネットワーク
【設立】2006年10月
【代表理事】大田哲夫
【住所】〒251-0024 藤沢市鵠沼橘1丁目11番8号
【URL】https://fsv.fsvnet.com/
災害時に救援活動をするボランティアに対して、他の地域ボランティアとネットワークを介して連携を図り、互いに助け合う市民社会の形成を目指す事業を行い、災害時において効果的な活動ができる体制づくりに寄与することを目的に活動しています。具体的には、災害時のボランティアセンターでの運営や情報伝達の体制づくり、災害ボランティアコーディネーターの養成や災害時を想定したシミュレーション訓練、災害ボランティアセンターやFSVの広報活動等を行っています。