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能登の八月
※本記事は、藤沢市市民活動支援施設情報誌「F-wave」2024年9月号の特集記事を転載したものです。紙面全体は以下のリンクよりご覧いただけます。
2024年、日本のお正月は地震から始まりました。
最大震度7の地震が能登半島を中心とした地域を襲い、大きな被害をもたらしました。その後、被害状況を報じるニュースや、現地の救援・復旧に関するニュースも数多く流されてきました。
東日本大震災以降、その他の近年の災害においても、災害の種類や規模、被災地の事情により、救援・復旧・復興にかかる道のりは大きく異なります。
今回は、当施設センター長が現地支援のサポートに入った八月末に、地震の発生から約9か月が経過した状況で、現在必要とされる支援、被災地外からできることなどについて、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(以
下、JVOAD)の明城さんにお話を伺いました。
東日本大震災をきっかけに設立された、JVOAD
JVOADの設立は東日本大震災をきっかけとしています。
東日本大震災の際は、どの地域にどのような支援が必要かなど、情報が錯綜した中で様々な団体が支援活動をしており、大規模災害時に支援する側が混乱しないような情報共有や、円滑に支援に移ることができるサポート役の必要性が認知されました。
JVOADの法人認証は2016年11月ですが、同年4月に起きた熊本地震は設立の準備期間にあたり、実質的には熊本地震を初めとして、大規模災害の被災地支援にあたっています。
今回の能登半島地震についても、発災直後から被災地に入り、支援を続けてきました。
“活動支援”と“活動調整”により、復興を促進
明城さんは、「熊本地震を例に時間比較をすると、避難所は4月発災で11 月に解消でした。今回は1月に起きてまだ避難所があり、仮設の入居も建設も、解体作業も続いている状態です。
特に初期に関しては、道路が通じていない影響が大きかったです。
もちろん被害そのものの大きさもありましたが、熊本では大分側からとか宮崎側から支援できました。
能登は港もダメだったので、交通が止まってしまっていました」と語りました。
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被災地では市町ごとなどの情報共有会議の開催のほか、団体と支援先のマッチング、団体の声をもとに行政や企業等と調整するなど、主に情報や関係をつなげる役割を担っています。
明城さん曰く、「能登に入ったときは、県庁内でも災害支援団体の担当課が確定していないような状況でした。
うちの仕事は被災者支援のコーディネーションですが、活動支援と活動調整の大きく二つに分かれていて、活動支援は高速道路無料化の窓口であったり、団体への情報提供をしています。
活動調整としては、現在コミュニティ再生などの課題がある中、NPOと行政とで解決できるような場づくり、つながりづくりをやっています」とのことです。
ニーズに応じた支援に向け、行政と団体の橋渡しに尽力
JVOADは現在、石川県庁の会議室を間借りしており、発災から半年以上が経過した現在でも、日夜NPOや行政からの相談であったり、行政や関連団体との調整会議を行っています。
8月末の段階では、避難所から仮設住宅への移行期となっていました。公費解体も拡大しつつあり、高速道路の無料化申請を行う団体の中でも、解体前の片づけや引っ越し支援をしている団体が目立ちました。
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「今、県などとコミュニティ再建に関する打ち合わせを進めています。
並行して相談支援なども進める中で、行政側が想定している支援を、ニーズに合わせて柔軟に団体が使えるような橋渡しをしています。
スーパーがない地区であるとか、厳しい能登の冬であるとか、個別的、地域的、時期的なニーズをうまく捉えて団体が滞りなく支援できるように立ち回っています」と、明城さんは語りました。
最後に、藤沢などの遠隔地から現在できる支援を伺うと、「まずは県外避難で神奈川などに行った人の支援。川崎で今度交流会がありますが、そういった動きがあるといいです。
募金もまだまだ有効ですが、見守り支援や仮設住宅は2年以上続くので、石川県にあるコミュニティ財団など、長期的に復興に使える、気長に支援する受け皿に集まってほしい。
現地応援の購入や、旅行での支援も被災地でのお仕事が増えるのでぜひやってほしい。
現地まで来れれば10月ごろまでは仮設住宅への移動ニーズも多く、まだまだ農地などでもボランティアさんの人手が必要な状況です」とのことでした。
* * *
8月21日に行われた石川県災害対策本部会議では、「今後の開催を不定期にする」という決定がありました。
これは復旧のめどが立ったことではなく、右へ左へと支援していく段階から、状況を見極めつつ、次に必要な支援を考える段階に移行しつつあることを意味します。
震災関連死などの情報も散発的に報じられる中、今後も遠くからできることを考えていければと思います。
取材・記事作成/関野
トップ画像/コミュニティ再建事業の準備風景
団体紹介
(N)全国災害ボランティア支援団体ネットワーク
【設立】2016年
【代表理事】栗田暢之
【URL】https://jvoad.jp/
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JVOADは災害時においても、すべての市民が多様性を認めあって支えあい、尊厳のある生活が守られる社会を目指しています。支援者の力を最大限に活かすため、多様な担い手とともに全国ネットワークを築きます。災害時には、支援の「もれ・むら」をなくすため、被災した地域をサポートし、災害時の連携・コーディネーションを行います。円滑かつ効果的な支援をするため、コミュニケーションの場を作ります。災害に備え、多様な担い手とともに啓発・理解促進、政策提言などを行います。(JVOAD HPより)