TOEICとは?社会人におすすめの資格
学生の頃から何度か受験したTOEIC。30代で心を新たに勉強しなおし、ようやく850点の壁を突破できました。
今回はこの経験を踏まえて、TOEICとはどういう資格か、何に役立つのか、何から勉強を始めればよいのか、について発信したいと思います。
仕事の幅を広げたい、スキルアップをしたい、何かを頑張ってみたい、、、
そう思っている方の力になれたら嬉しいです。
※個人的な意見も含んでいます。
参考にしてください。
(データや数字などは2024年12月時点のものです。受験の際は公式HPで最新の情報をご確認ください)
1. TOEICとは?
✏︎英語力をスコアで評価する試験
主にビジネスシーンや日常生活で使われる英語力を測定する世界共通の試験です。
ビジネス英語力を測れる資格として、TOEIC
スコアを基準に採用や昇格を決める日本企業も多々あります。
TOEICにはいくつか種類がありますが、
一般的に「TOEIC」と言うと、
「TOEIC® Listening & Reading Test」
略して「TOEIC L&R」を指します。
「聞く」「読む」力を測る試験です。
今回は、そのTOEIC L&Rについて紹介します。
※TOEICの種類
・Listening & Reading Test
「聞く」「読む」力を測る試験 ⇦一番有名
・Speaking & Writing Tests
「話す」「書く」力を測る試験
・Speaking Test
「話す」力を測る試験
・Bridge Listening & Reading Tests
初級・中級者向け
・Bridge Speaking & Writing Tests
初級・中級者向け
TOEICL&Rの試験結果は、合格/不合格ではなく、10〜990点まで5点刻みのスコアで評価されます。
✏︎受験方式は主に2種類
TOEICの受験方式には、主に「公開テスト」
「IPテスト」の2種類あります。
・公開テスト
TOEIC協会が設定した日時・会場にて受験
します。
・IPテスト
企業や語学学校など団体で受けられる受験
方式です。団体の担当者の管理のもと、
任意の日時・会場で受験します。
また、オンライン受験も可能です。
どちらの受験方法でも問題無いですが、
「公式認定証」が発行されるのは公開テストのみのため、公式認定証の提出が必要な場合は、
公開テストを受ける必要があります。
わたしは、公開テスト・IPテストどちらも受験したことがあります。個人的な感想ですが、
IPテストよりも公開テストのほうが少し難易度が高く、スコアの精度がより高い感じがしたので、できれば公開テストを受験することをおすすめします。
✏︎試験内容について
試験の特徴
TOEICの試験は以下のような特徴があります。
・全問が3択〜4択問題で、全てマークシート
で回答する。
・問題文と選択肢はすべて英語。
・試験時間は長めで、約2時間。
・リスニング問題は1度しか放送されない。
・メモなどの書き込みは禁止。
TOEICの試験形式は特徴的ですので、それに慣れておく必要があります。試験問題は全て英語で書かれており、試験当日は英語漬けの2時間を過ごすことになります。
試験の構成
試験は、Listening(リスニング 聞き取り)とReading(リーディング 読み取り)の2つのセクションで構成されています。
◯リスニングセクション
満点:495点
時間:約45分間
問題数:100問
問題内容:
Part1 写真描写 全6問
写真を見て、4つの英文を聞き、写真
に最もふさわしい英文を選ぶ。
Part2 短い会話 全25問
最初に短い英文を聞き、それに応答する形
でさらに英文を3つ聞く。3つの英文の
うち応答として適切なものを選ぶ。
Part3 会話 全39問
最初に2人または3人の会話を
聞き、問題冊子に書かれた設問を解く。
1つの会話につき3〜4つの設問がある。
Part4 説明文 全30問
アナウンスやナレーションなど長めの
英文を聞き、問題冊子に書かれた設問を
解く。図やグラフ等を使う場合もある。
◯リーディングセクション
満点:495点
時間:約75分間
問題数:100問
問題内容:
Part5 穴埋め 全30問
文法や単語を問う短文の穴埋め問題。
Part6 穴埋め 全16問
メール文や手紙などPart5よりも長い文章
の穴埋め問題。
Part7 文書読解 全54問
Part6よりもさらに長い文章や、複数の
文章を読んで、設問に答える。
試験の流れ
◯受付
受付を済ませ、指定の席に着く。
座席に置かれた解答用紙に受験番号・氏名・
アンケートなど必要事項を記入。
↓
◯準備
試験の説明・問題冊子配布・音量テストが
実施される。問題冊子は指示があるまで封を
開けられない。
↓
◯試験開始
すぐにリスニング問題が放送される。
(約45分間)
↓
◯リスニング終了&リーディング開始
すぐにリーディング問題に取りかかる。
(約75分)
↓
◯試験終了
解答用紙・問題冊子が回収され、解散。
問題冊子の持ち帰りは禁止。
2. 社会人にとってのメリット
✏︎3つのメリット
ここまで読んで頂いた方には、TOEICはとてもハードルが高い試験に感じられるかもしれませんが、がんばって取り組むメリットがありますので紹介します。
◯メリット1 転職活動でアピールできる
外資系企業や海外で働く場合だけでなく、日系企業でも海外の取引先とやり取りしたり、海外に拠点を構えていたりと、英語での対応を求められる場面があります。そのような企業に転職したい場合、ビジネス英語力を証明できるのは強みになります。
転職サイトを見ていると、日本国内ではTOEICスコアを採用基準にしている企業が多々あります。採用基準を満たすTOEICスコアを持っていると、応募できる求人の幅が格段に広がります。
また、昇格の条件としてTOEICスコアを提示している企業もあるため、就職後にも役立つ場合があります。
一方で、英語を使わない企業に応募する場合であっても、勉強の経験が役立ちます。 「働きながら自分のスキルアップに努められる」という能力をアピールできるからです。TOEICは合否判定ではなくスコア判定のため、一定以上のスコアを持っていれば履歴書に書いて、自分の能力を数字で明確に示せます。
◯メリット2 自分に自信が持てる
TOEICは、「このレベルのスコアを取った人は、このぐらい英語ができる」という目安を示してくれています。TOEICでスコアを獲得することで、自分にはこれほどの力がついたんだと、英語に対して自信が持てます。
◯メリット3 勉強のモチベーションになる
自分の力がスコアで評価されるため、「次は○○点台を目指そう」「次は○○点アップを目指そう」とTOEICのスコアに沿って、次の目標を立てることができ、 英語学習のモチベーションアップにつながります。
✏︎ちなみに...3つのデメリット
TOEICは十分受ける価値があると思いますが、弱点もありますので紹介します。
◯デメリット1 英会話力には特化していない
TOEICの勉強をすることで、間違いなく英語力は鍛えられます。ただし、「聞く」と「読む」力に
重点を置いているため、 「話す」力についてはTOEICだけでは対策が不十分です。
メールでのやり取りや簡単な会話であればTOEICは効果的ですが、 商談や面接で英語を使う場合は、追加で英会話力を鍛える必要があります。
◯デメリット2 TOEIC専用の対策が必要
TOEICに限った話ではないですが、試験形式に沿った対策が必要になります。
120分で200問解くというスピード感や出題傾向に対応する為に、一般的な英語教材に沿って勉強するだけでなく、TOEIC公式問題集などを使って、TOEIC専用の勉強をする必要があります。そこに時間を取られる点が、忙しい社会人にとってはデメリットになりえます。
◯デメリット3 スコアの有効期限は2年
TOEICのスコアは、受験当時の英語力を評価しており、その英語力は時間が経つと低下する可能性があるという考えのもと、スコアの有効期限は2年とされています。
ただし実際には、「2年を超えたから履歴書に書くことができない」というわけではありません。 2年を超えてもスコアとして認める企業もあり、TOEIC側も採用等の目的であれば
2年経過後のスコアを提出することについて、特に禁止していません。
そのため、有効期限は絶対ではないですが一つの目安として、 前回の受験から長期間空いてしまった場合は受けなおすほうが良さそうです。
✏︎英検とTOEICどっちがいい?
転職に使うならTOEIC
個人の意見になりますが、以下のように考えています。
英語を転職やキャリアアップに役立てたい人
ビジネス英語を身に着けたい 人
英語の習得方法に特にこだわりはない人
→ TOEIC
英語が好きで英語を極めたい人
TOEICはある程度スコアを取れている人
→ 英検
※英検とは
日本英語検定協会が実施している、これも
英語力を測る試験です。正式名称は実用英語
技能検定。英語を勉強している人の間では、
TOEIC同様に有名な試験です。
団体受験もありますが、今回は個人受験を
前提にご紹介します。
単純に転職やキャリアアップに使いたいという人にはTOEICをおすすめします。 その理由は
以下の通りです。
・英検は国内の資格であるのに対し、TOEICは
世界共通の資格であり、日系企業では英検
よりTOEICで英語力判定をしているところが
多い。
・TOEICは年に何度も試験が開催されるため、
自分の都合に合わせて勉強を始めやすい。
・TOEICのほうが受験料が安い
※就職対策で使えるとされる英検2級の受験料
と比較した場合
・TOEICは、結果が合格/不合格ではなく
スコア評価のため、履歴書に書きやすい。
私は英検・TOEICのどちらも受験経験があります。TOEICは問題数も多くスピードを求められ
るのに対し、英検は文法の正確さや単語の難易度など質が求められるイメージです。
ビジネスの場で実践的な英語を使いたいならTOEIC、通訳や学問的な英語力を身に着けたい場合は英検を優先的に勉強するのが良いと考えています。
ちなみに、TOEICのほうが受験料が安いと記載しましたが、英検の(3級以上)はマークシート問題だけではなく、作文・面接の試験も含まれている為、
「話す」「書く」力も身に着けられます。
また、英検の資格には有効期限は無いため、
1度取得すると生涯資格として使えます。
TOEICと英検の比較
◯評価方法
TOEIC L&R:
・スコアで評価
・10〜990点のうち5点刻みで評価
・全員の試験内容は同じ
英検:
・合否で判定
・5〜1級(準2級・準1級含め7段階)
・各級の試験内容は異なる
◯受験料
TOEIC L&R:7,810円
英検:4,100円~12,500円
(就職対策とされる2級は9,100円)
◯開催回数
TOEIC L&R:年20回程度
午前/午後で1日2回開催
英検:年3回
◯作文問題・面接試験
TOEIC L&R:無し
英検:3級以上〜あり
◯資格の有効期限
TOEIC L&R:2年が目安
英検:生涯有効
3. 勉強のはじめ方
✏︎どう勉強をはじめたらいい?
まずは、次の2つのステップを踏んで勉強を
始めることをおすすめします。
◯ステップ1 はじめに公式問題集を解く
TOEICから公式問題集が出版されています。
毎年新しいものが出版されており、最新は11巻です。試験2回分の問題が入っています。書店でも購入できますし、amazonやRakutenブックス等でも購入できます。
TOEICを受けた経験がある人も無い人も、まず試験1回分を一通り解いてみましょう。
試験本番どおりに時間制限をつけて解いてみてください。そして答え合わせをしたら、次のステップです。
◯ステップ2 何が足りないか確認して対策する
初めて問題集を解くと、全然分からない問題があったり、最後までたどり着けなかったりという状態になると思います。
その中でも、特に何が足りないかを確認して、
そこから重点的に対策をしていきましょう。
具体例を挙げます。
①リスニング問題が難しかった
①-1 単語や文章の区切れ目が分からず、
聞き取れない場合
対策 シャドウイングをやってみましょう。
シャドウイングとは聞こえてきた英語を
真似して、追いかける形で声に出す練習
です。
まずは、リスニング問題のPart1〜2の短い
英文を使って練習してみましょう。
以下の順で練習するのがおすすめです。
何も見ずに英文を聞く
↓
原稿を見て内容を理解する
↓
原稿を見ながら、音声を聞く
↓
原稿を見ながら、音声を聞きながら発音する
↓
原稿を見ずに、音声を聞きながら発音する
※リスニング問題の原稿は、解答冊子に記載
されています。
ポイントは、発音だけでなく抑揚やテンションも全て真似することです。
シャドウイングは数回やっただけでは、なかなか出来ません。何度も練習してみてください。
①-2 知っている単語は聞こえるが、全体的
に内容が理解できない場合
対策 まずは単語力を強化しましょう
おすすめの単語帳は、これです。
「TOEIC®︎ L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ」
著者:TEX加藤
この1冊をやり込みましょう。単語を覚える
時には発音も覚えましょう。音声が無料で
ダウンロードできるようになっているので、
活用しましょう。
②リーディングセクションPart5〜6の穴埋め問題が難しかった場合
対策 単語と文法を覚えましょう
先ほど紹介した単語帳と、次に紹介する
文法問題集を使いましょう。
「1駅1題 TOEIC®︎ L&R TEST 文法特急」
著者:花田徹也
文法は非常に難しく、基礎から積み上げて
いかなければならない側面があります。もし
基礎ができておらず上記の問題集が難しすぎるという場合は、中学校や高校の教材に戻って勉強してみてください。
③リーディングセクションPart7が難しかった
③-1全体的に読むのが遅い場合
対策1 風景や絵を思い浮かべながら読む、
日本語に直訳しながら読まないという
練習をしてみましょう。
この練習をするために、まずはリーディング
セクションよりも文章が短く、音声も付いて
いるリスニングの原稿を使いましょう。
まずはリスニングの原稿を読んで意味を理解し、情景を思い浮かべましょう。
次にリスニングの音声を流しながら、それと
同じスピードで黙読・音読できるように
練習しましょう。
対策2 解き方を工夫しましょう
長文問題においては、本文を読み始める前に、背景を把握できているほうが、読みやすいです。そのため次の順番で解く練習をしましょう。
まず、メール文・手紙・広告等の
タイトル/差出人/宛先を読む
↓
設問の問題文を読む
(選択肢まで読む必要はありません)
↓
何について話をしているのか何となく
把握できたところで、本文を読み始める。
③-2 単語が分からない場合
対策 単語力を強化しましょう
読むスピードを上げることにもつながりますが、単語は単語帳で押さえておきましょう。
上記でご紹介した金のフレーズを使うのが
おすすめです。
④英語は得意なのに点数が取れなかった場合
対策 何度か解いてみましょう。
TOEICの試験形式への慣れが必要かもしれません。何度か問題集を解いてみましょう。
公式問題集は最新の11だけでなく、過去のものも販売されています。複数冊買って、何度か解き、問題に慣れていきましょう。
昔の問題集は、最新のTOEICの問題傾向と
異なっている場合があるため、購入する場合
は公式問題集8以降をおすすめします。
⑤リスニングもリーディングも難しかった場合
対策 リスニングの対策から始めましょう
リスニングセクションで使われる文章や単語は
リーディングセクションに比べると易しい傾向にあるため、リスニングセクションは勉強すれば高得点を取りやすいパートだと言われています。
まずはリスニングで高得点を目指し、一定
レベルのスコアを確保しましょう。
✏︎TOEIC受験時の注意点
TOEICの勉強を始めるにあたり、実際の受験時の注意点があるので、いくつか紹介します。
・問題冊子・回答用紙の持ち出しは禁止です。
受験直後に答え合わせなどはできないため、
試験時間で全力を尽くしたら、あとは天命を
待つしかありません。
・問題冊子への書き込み、解答用紙の解答部分
以外への書き込みは禁止です。
書き込まずに聞き取り・読み取りできるよう
練習しておく必要があります。
・リスニング中にリーディングの問題を見る
こと、解くことは禁止されています。
リスニング中にリーディングの問題を解いて
時間を稼ぐことはできません。75分間の中で
解けるよう練習しておく必要があります。
これらを念頭に置いて勉強してみてください。
以上、TOEICについてでした。読んでいただきありがとうございます。
勉強のきっかけになれば嬉しいです。