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はじめまして。

はじめまして。私の名は藤岡龍介。63歳、横浜でタクシードライバーをしています。

この街に根を下ろして早40年余り。タクシーの運転手としては21年目を迎えましたが、その前には、不動産営業という世界で汗を流していました。
振り返ると、人生には思いも寄らない転機があるものです。私の物語は、そうした転機を乗り越えながら続いてきたものといえます。


私は鹿児島市の出身です。南国の温暖な風の中で育った少年時代から、大学進学を機に横浜へ出てきました。
横浜の街に初めて足を踏み入れたときのことは、今でも忘れられません。海風が混じる都会の空気、人々の多様な表情、そして夜になると輝くベイエリアの灯り。鹿児島の穏やかな空気とは違う、活気に満ちたこの街に、すぐに魅了されたのです。


不動産営業の仕事は楽ではありませんでした。とりわけ、住宅が一軒も売れない3か月間を過ごした時期には、生活が立ち行かなくなる恐怖を味わいました。
冷蔵庫の中身が尽き、家賃の支払いにも困る状況に追い詰められたあの頃は、正直、全てを投げ出したくなるような日々でした。

それでも、心のどこかで「自分を変えなければ」という想いがありました。数えきれないほどの求人誌をめくり、職安の行列に並びながら出会ったのがタクシーの仕事でした。

当初は「運転なんて誰にでもできる」と高をくくっていましたが、実際に始めてみると、接客や地理の知識、さらに瞬時の判断力など、想像以上のスキルが求められる仕事だと痛感しました。


今、タクシー業界は大きな変化の波の中にいます。
コロナ禍を経て、乗務員の減少や利用者のニーズの変化が顕著になりました。

アプリ配車「GOタクシー」や「Uberタクシー」といった新しい形態が増え、利用者にとっては便利な一方、我々運転手にとっては新しいスキルの習得が求められる厳しい時代でもあります。

私自身も、初めて「GOタクシー」を導入する際には戸惑いがありました。
しかし、若い同僚たちに助けてもらいながら操作を覚え、活用するうちに売上が伸びる実感を得ました。
63歳になっても、新しいことに挑戦することで道が開けるという事実を身をもって感じています。


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