なんとかやり過ごして通り過ぎて行った日の感情を、なかったことにしないでいてくれること(スキップとローファー感想9)
20話からはみつみ達初めての文化祭!
お泊り会の時もそうだったけど、イベント事って身近な人達の知らない新たな一面を知れる機会だねという回
中学時代の友達と仲良くしてる姿だったり
いやなナンパのされ方をして顔が死んでる結月ちゃんの姿だったり
そしてそんな結月ちゃんに追い打ちをかけるように、初対面のまことちゃんの中学時代の友達に「陽キャ美人苦手だな~」の顔をされて表情が曇る結月ちゃん
その光景を目の当たりにしたまことちゃん、中学時代の友達に結月ちゃんを紹介する
まことちゃんのその言葉で笑顔になる結月ちゃん
21話では兼近先輩のことをより知られる言葉がある
志摩くんが兼近先輩に尋ねた時のこと
兼近先輩は答えた
意外とめちゃくちゃ誠実に答えてくれてるしちゃんと考えてるよな兼近先輩…
そして志摩くんの弟のけいりくん、お家では兄にもじもじしてるのに意外とぜんぜん知らない人に対してはハキハキ喋れるという一面を志摩くんは知り、そして
が自分とけいりくんの共通点だということにも気づく…
そして22話でついに志摩くんは気がつく
「自分のこともわからない」ということ
そして
それから
ということに
一方高嶺先輩は風上先輩と話す中で彼が要領良い一辺倒じゃなくて、実は彼は彼でしがらみや劣等感の中で生きているという一面を垣間見る
(その一面を高嶺先輩に敢えて見せてしまうこともまた、風上先輩のズルさや要領の良さの一部である気もするけど)
そうした文化祭での「色々な人達の様々な新しい側面を知ったこと」を通して、じゃあそれらは読者にとってなんだったのか、ということを振り返るとそれは、嫉妬する側にもされる側にも様々な事情や背景があるということ、志摩くんや結月ちゃんや風上先輩みたいに「誰もがうらやむようなポジションにいる」と思われているような人達にも、本人にしかわからないしんどさは、ある
その人がその人であるゆえに他人を傷つけたり嫉妬の感情を巻き起こしてしまう、みたいなこともあれば、風上先輩が受験生に軽い気持ちで話した一言で元気をあげられたり、誠ちゃんの言葉で結月ちゃんが元気になったり、元気になった結月ちゃんの一言でみつみちゃんが元気になったり、なんかそういう風に「その人がその人であるゆえに誰かを救う」みたいなことがふつうに起きたり
だからそう、嫉妬をすることも、自分自身以外の他人になり替わろうとすることもぜんぶ無意味だね、とすっとそういう気持ち全部手放せそうな気持ちになれるし、逆にそれでもなおそんなこと達に苦しんでしまう日の自分のことも否定しない物語だと思った
こうあるべき、みたいな教訓めいたことはこの物語の中にはなく、ただ人がなんとかやり過ごして通り過ぎて行った日の感情を、なかったことにしないでいてくれること、そしてそれらを踏まえた上でちょっとでも全てがマシになっていくのを祈ってくれているというだけで
求めているのはきっと正しい/間違ってるのジャッジじゃないんだ