【モノなし生活1〜6日目】 ものがない自分はからっぽだと思った、けれど
所持品0からスタートして100日間、 <1日1つアイテムを取り出す> というルールで生活中です。
詳しいいきさつやルールはこちら↓
それでは初日から5日目まで、毎日何を選んでどのように過ごしていたかをレポートしていきます。
【1日目】 敷布団
1日目には敷布団を選んだ。ある意味、わたしの人生で一番大切なものは「敷布団」なのだとわかった瞬間だ。この選択に至ったのには、ある"おしり原体験"が影響している。
日中アイテム0で過ごしてみたところ、ソファも座布団もないのでフローリングに座り続けるしかなく、とにかくお尻が痛かった。20歳のとき、普通列車が乗り放題になるチケットを使って根性で東京から北海道に行った時のことを思い出す痛みだった。夜22時すぎに青森を出発して、早朝に札幌に到着する急行はまなす(2016年運行終了)もこのフリーきっぷの対象で、少しでも安く北海道に行きたい若者たちでごった返していた。自由席はあっという間に埋まり、7時間30分立ったままでの乗車を覚悟したが、あまりの混雑に"指定席の通路"が解放されたのだ。かなりありがたかったが、通路に体育座りしての7時間30分は本当にきつかった。両サイドにいる指定席の人々は、トイレに行く際などとても不便だろうに我々のために通路を解放してくれた神のような存在だ。寄りかかったりして迷惑をかけまいという一心で、車両が揺れるなかほとんどないインナーマッスルを総動員して体を支えた。尾てい骨が疲労骨折するかと思った。あのときの居心地の悪さとおしりの痛さと全身の筋肉痛がよみがえる。たった1日だって床は無理だ。
あの日のことを考えながら敷布団にダイブしたら最高に気持ちがよくて、1日目からこんなふかふかなものの上にいられるなんて贅沢だな、と思った。もういない指定席の神々に感謝したいほどだ。
敷布団は折りたたむとソファにもなる。独房感がすごいけれど大満足のチョイスだった。
仕事や家事を終えて自由時間になってもすることがない。時計がないのでいま何時なのかということがずっと気になる。そういう修行をする寺に来たみたいだ。1日目は欲しいものが多すぎた。何をするにも道具が要る。特にいろんな用途を兼ねていたスマホがないと手持ち無沙汰の極み。スマホ、欲しすぎる。でもすぐにスマホを手に入れたらこの修行の真骨頂が見えてこない気もする。
ものがない自分は空っぽだな、という気がする。
【2日目】 歯ブラシ
ここが無人島だったら2つ目のアイテムに歯ブラシは選ばなかったかもしれない。でもシティだし、歯ブラシがないと口の中も気分もモヤモヤする。
そりゃあ歯磨き粉もあったほうがいいけれど、歯磨き粉なしも悪くない。歯ブラシだけのほうが、まだ磨けていない部分がなんとなくわかりやすい気がする。歯磨き粉をお持ちのみなさんにもたまにはこの「ストイック歯磨き」をおすすめしたい。
歯ブラシを手に入れてからというもの、歯磨きタイムのテンションの上がり方がすごい。「わたしは!いまから!歯を磨くという権利を!行使する!」と鼻息荒く洗面台に向かう。ごはんを食べた後、「もしかして!?歯磨きチャーンス!キラリーン!」と毎回なる。そうだ、ここでごはん問題に触れておきます。
この100日間のチャレンジでは食料を買うことは許されている。でも最初は冷蔵庫、調理器具、調味料などは使えないのでそれらがなくても食べられるものを買う必要がある。ということでこんな感じ。
箸や食器なしで食べられるできあいのもの、そのままで食べられるきゅうり、とまと、バナナなどなど。おいしいけれど続けるのはしんどいかもな。すぐに自炊のあたたかい料理が食べたくなりそう。(※ピンクピン太郎(2歳)にはごはんを作っています。)
【3日目】 スニーカー
今日は絶対タオルが欲しかったけれど、朝起きるやいなや「大きい公園に行こう!!!」と言われたため、やむを得ずスニーカーを選択。まあ遅かれ早かれ必要だったな。
ここ2年くらい、真っ白いスニーカーばかり履いている。どんな服とでも相性60点以上は保証してくれる感じがする。白いスニーカーで思い出すのは「全部イノシシのせいだ事件」だ。中学生の頃、校則でスニーカーは真っ白のもののみと決められていた。サイドにうすいグレーのラインがほんのりでも入っていようものなら即呼び出し。厳しかった。ある日の登校中、通学路に巨大なイノシシのフンを発見したが、巨大過ぎて避けられなかった。当時は神戸に住んでおりイノシシはけっこうよく出た。一度ひとりのときにも遭遇したが車ぐらい大きかった。フンも大きいので他の動物のものと間違えることは決してない。踏んでしまったのは仕方ないだろうと体育館シューズ(赤いライン有)に履き替えて登校すると、一番おそろしい体育の先生に一瞬で見つかり怒鳴られた。ショックだったのでいまでもその光景が脳裏に焼き付いている。でも!イノシシのせいなんです!みんなだって臭いまま教室に入られたら迷惑でしょ!と言い返したが「いますぐ洗ってこい」と一蹴され、イノシシを恨みながら校庭の片隅で洗った。つらかった。わたしはそんな、白いスニーカーのことが大好きなんです。えっ。
大きい公園に行ったらどんぐりをどんどん持たされた。所持品ほぼないけど、どんぐりならいっぱい持っている。3日目にして縄文人になった。
でもこれどんぐりにしては大きい。なんていうどんぐりなんだろう。さっそくスマホで調べたくなった。スマホが欲しいと思っているうちはまだ自分にスマホを許したくない。映画『100日間のシンプルライフ』の主人公の1人はスマホ依存症だ。わたしもそうだと思うので克服したい。スマホなくてもいいな、と思ったらスマホをゲットしよう。矛盾してるけど。いまはまだ謎のどんぐりでいい。
しかしタオルがないのがずっとつらい。お風呂上がり、ジャンプして水を切ったり、犬みたいにぶるぶるーとやったりしている。髪が短いのが救いだけど、どんなにしぼっても何滴か背中にツーっとたれて気持ち悪い。あと洗顔後すぐに顔を拭けないとみじめな気分になるとわかった。顔が濡れて力が出ない。とはいえ比較的すぐ乾くので夏でまだよかった。
いつもは早く寝ていただきたくてたまらないピンクピン太郎、いまじゃ寝たあとが暇すぎる。スマホも娯楽もない部屋にいると1時間くらいで悟りがひらけそうになってくる。寝るしかない。
【4日目】 バスタオル
顔が!髪が!身体が!拭ける!拭ける喜び!!!
念願のタオル。念願すぎて、普段はお風呂上がりもフェイスタオル派だったのに勢い余ってバスタオルにしてしまった。でもこれは畳めば枕、寒い時にはブランケットになるから最高なのだ。枕、ほんとは欲しかったんだよなあ。初日は枕なくてもいけるなと思っていたけど、夜中に無意識に枕を探している自分に気づいた。最近肌寒くなってきたのでちょっとかけるものがあるのは嬉しい。あたまから被ったときの安心感も見逃せない。人間にはきっと、「なんらかの布に包まれたい」というプリミティブな欲求がある。
夜の無の時間に慣れてきた。自分と話す時間が増えて頭の中がクリアになった気がする。言い換えれば、インプットとアウトプットの間の「感じる時間」がたっぷりとれるようになった感じ。そのせいか仕事もはかどる。たぶんかなり良いことだ。いままでは情報量が多過ぎて気持ちが忙しかったのかもしれない。初日は自分がからっぽに思えたけれど、いまは自分といるのがちょっとずつ楽しくなってきた。
【5日目】 パーカーワンピース
タオルをかけて寝たものの夜中寒かったので、明日は絶対にもう少しあたたかい服が必要だと思った。今年のはじめごろユニクロで買ったくすみピンクのパーカーワンピース、気に入っている。フードもポケットもついているなんて機能的すぎる。両側にポケットがついているということはもう小さいカバンをひとつゲットしたのと同じだ。いまのわたしにはもったいない。入れるものないし。謎どんぐりか? そしてやっぱりワンピースは1枚で完結するから嬉しい。
洗濯問題はある。初期装備のTシャツワンピ、手洗いして干す(浴室乾燥機は家の付属品だからセーフと思ってる、ちょっとずるい?)と、ちょっとしわしわになる。わたしの技術のなさだけど、これ手洗いの方が傷むんじゃないかなって感じがしている。パーカーワンピはわりとゴツいので水気をしぼるのも大変だし乾きづらそうだ。近い将来、洗濯機を選ぶ必要があるだろう。
【6日目】 MacBook(12インチ)
「リモート親族のつどい」があったためPCを解禁。でもそろそろ一旦noteにまとめたかったしちょうどよかったのかもしれない。
「リモート親戚のつどい」は、毎年お盆に祖父母の家に集まっていたけれど今年は難しいねえということから開発された「リモートおぼん」の続編である。楽しかったから月イチくらいにしよう、となったのだ。人が集まりにくいコロナ禍、インターネットがあってよかったと本当に思う。
12インチMacBook、愛してます。去年生産終了になってしまったらしいけど……。Airより軽い約900グラムでとにかくどこにでも連れていけるし、2018年にMacBook Proからこれに変えてクリエイティブな気持ちがぐん!と膨らんだ気がする(それはテキストメインだからであって、映像編集とかにはおそらく向かない)。そしてPCをゲットしたら俄然つくえがほしい。ものはものを呼ぶなあ。
もともとこれでスマホみたいにだらだらインターネットをする習慣はなかったから、これからも上手な付き合い方ができると信じたい。もう少しスマホなしで無の感じ、心静かな感じを味わっていたい。
以上、1〜6日目でした。
一週間足らずで収穫がいっぱいある。手持ち無沙汰でスマホをいじる代わりにストレッチしたりしていて、めちゃくちゃすこやかだな〜と思う。
でも気になっていることがひとつある。実は、映画『100日間のシンプルライフ』に <人生に欠かせないもの> というテーマで以下のコメントを寄せていた。
思いっきり「本」って書いてるなあ……。
子どもの頃から本が好きだし、去年からタイムトラベル専門書店 utoutoという本屋も営んでいる。本がない生活は考えられない。
この100日間のチャレンジ期間中、わたしはいったい本とどう関わっていくことになるのだろう、ということをちょっと考えていた。Kindleをゲットするという答えもあるし、それもとてもいいけれど、100パーセント満たされるわけじゃないなあと思う。自分にとって本とはどんなものか再認識する機会になりそう。洗濯機、掃除機、シャンプー、包丁、鍋、コップ……必要なものはまだまだまだまだたくさんあるけれど、そろそろ本が欲しいなあ。
レポートと言いつつほぼ日記でした。でも家にいるのに旅日記みたいな感じがする。モノと出会い直すことで、知っていたつもりの暮らしの景色が見知らぬ街を旅しているときのように新鮮になった。100日間の冒険はまだ始まったばかりです。あらやだ、爪切りたくなってきた……。
続く
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