「児童文学論」の授業について
今回は「児童文学論」について紹介したいと思います。
授業をするにあたって、当時の学科長から言われたのが、「うちの学科は、司書や国語の先生になるための勉強をしている学生もいるわけだから、将来、子供たちに読書教育ができるように、児童文学の知識を身につけさせてほしい」ということでした。
私自身は「作家になる」と決めて、文芸学科に進んだのですが、文芸学科生のみんながみんな作家志望というわけではありません。
編集者志望やルポライター志望のひともいれば、司書や教員免許や学芸員などの資格を取るために学んでいるひともいるのです。
実際、私の大学時代の友人も、三人ほど、司書になりました。(図書館司書と小学校の司書教諭。あと、就職活動で、図書館の採用試験を受けたけれど、残念ながら落ちてしまったという友人も……)
卒業制作も、グリム童話の心理分析だったり、ドイツの作家E・T・A・ホフマンの研究だったりと、友人らは創作ではないものを提出していました。
本と子供をつなぐ役割として、図書館や学校などの場はとても重要な存在です。そこで働くひとたちを育てるというのも、大阪芸術大学の文芸学科に課せられた使命なのでしょう。
そんな学科長の「未来への思い」に共感して、私の「児童文学論」は専門的な知識というより、広く浅く、教養として知っておきたい児童文学を取り扱っています。
まずは総論として「児童文学の定義」や「歴史的な流れ」を説明します。
各論としては『ピーター・パン』『クマのプーさん』『ピーターラビットのおはなし』『ムーミン』『チェブラーシカ』など、キャラクターが商品化されている児童文学作品の原作について、考察していきます。
知識の定着を確かめるためのテストは行っておらず、その代わり、授業のあとにミニレポートを書いてもらっています。(200字くらいの文章で構わないのですが、授業のテーマによってはとても読み応えのあるレポートを書くひともいます。特に、ジブリ映画やディズニーアニメに関するレポートは「思い入れの深さ」を感じるものが多かったですね)
今年はびっくりするくらい優秀な学生が多くて、毎回、提出されたレポートを読むのが楽しかったです。
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