Spinoza Note 41: 神は内在する(第1群-2)

定理18から15までを「神は内在する」とラベル付けする。当初の予定から変更があった:

  • 定理19を「神と存在」第1群-1に移した

  • 題目を「神は無限であり永遠である」から「神は内在する」に変更した

定理17から15までは既に検討したので、定理18を中心にみていく:

Deus est omnium rerum causa immanens, non vero transiens.

Eliot訳:God is the immanent and not the transient cause of all things.
Elwes訳:God is the indwelling and not the transient cause of all things.
高桑訳:神はあらゆるものの内在的原因であって超越的な原因ではない
佐藤訳:神はあらゆる物の内在的原因であって、他動原因ではない。

佐藤訳で論証過程を追う:

  1. (定理15)すべて在るものは神のうちに在り、神を通して念われなければならない

  2. (定理16)神は自身のうちに在る物の原因である・・・以上で第1点

  3. (定理14)神のそとにはいかなる実体も与えられることが出来ない

  4. (定義3)神のそとでおのれのうちに在る物は与えられることが出来ない・・・これらが第2点

  5. (第1点と第2点より)神はすべての物の内在原因であって、他動原因ではない。

回りくどいが、「神が全てであり、自らの原因である。」論証の組み立てに問題はない。残りの諸定理は別のノートに書いてある。定理18は定理16と15に支えられている。定理17は定理18と独立していて、定理16と15に支えられている。

  •  Spinoza Note 32: [定理17] 神は全能だ

  •  Spinoza Note 31: [定理16] 無限にものが生じる

  •  Spinoza Note 30: [定理15] 存在するものはすべて神に起因する

神の存在と働きについて必然性から始めて(定理33)基礎に至った(定理15)。あとは後ろに戻って、残された諸定理を検討する。「神の能力」と「知性」に関する命題が残っている。これまでが存在論で、この先が認識論という位置づけになろうか。

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