Spinoza Note 23: [定理10] 属性はそれ自身によって理解される
定理10は属性をいかに理解するかということ。
Eliot訳:Each attribute of the same substance must be conceived through and by itself.
Elwes訳:Each particular attribute of the one substance must be conceived through itself.
畠中訳:実体の各属性はそれ自身によって考えられなければならぬ
高桑訳:ある実体の個々の属性は、それ自らによって理解されねばならぬ
定義4と3を使って証明する。Jarrettに従って、定理10を論理式に翻訳する:
意味:属性 x はそれ自身を介して conceive される
素直な翻訳だ。「実体の」とか「ある実体の」は冗長だから除いてもいいだろう。
定義4は前項で復習した。「実体に関して、その Being (生々流転する様)を成していると知性が認識するものを属性という。」定義3は「実体とはそれ自身において存在し、それ自身によって考えられる物のことである。言い換えれば、その概念を形成するために他の物の概念を必要としないもののことである。」それぞれ属性と実体の定義だ。
Jarrettに倣い、定義4を次のように翻訳する。(一部修正を加えている)
それから定義3は次のように翻訳される:
定理10の左辺を定義4で書き換える:
左辺の is-substance を定義3で書き換える:
なるほど、あとは属性 x と実体 y が同一であること、x = y がいえれば証明できる。
こんな感じかな。この式は公理として書かれていないが、実体 y がそれ自身のうちに在り(つまり自己原因)、ほかのもの x が y から顕れてくるなら、それも実体なので、前項で述べた「絶対一者である実体の真実味が増してくる」様子と解釈できる。もう少し厳密に条件を加えなければならないのかもしれないが当面はこれでいけるので静観する。
とりあえず最後まで証明しよう。
証明が完了した。公理をひとつ加えたけど前項で根拠を述べたから、良しとする。つづく備考でもこのように書いている: