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nemuineko_note
友がみなわれより…
鉄道にまつわるアンソロジーに収められた藤原新也の「菜の花電車」が心に沁みた。
高校時代の同級生N。ある課題に沿って生徒らがものした文章のなかで群を抜く(と藤原が感心した)作品を書いたN。23年後、藤原は仕事で郷里に足を踏み入れた時、たまたまNの所在を知り、前触れもなく訪ねていく。そこは場末のキャバレー、Nはその支配人をしていた。突然訪ねてきた藤原を、しかし、Nは心ならずも邪険に扱い奥にひっこんでしまう。この場面に思わず感情移入してしまったことである。
その数年後、Nから唐突に年賀状が届く。取材旅行から帰国し2ヶ月遅れでそれを読んだ藤原がすぐに病院に電話するも、Nは他界していた。がんだった。
Nは藤原の『印度放浪』に始まる仕事はフォローし読み知っていたはず。
よって、有名なアフォリズム「人間は犬に食われるほど自由だ」も。