見出し画像

債券の種類について改めて教えて欲しい【お客様からの質問シリーズ⑥】

こんにちは
ウェルスパートナー(https://wealth-partner-re.com/)で富裕層向けIFAをしている藤村大星(https://twitter.com/wp_fujimura)と申します。

クレディスイスの問題で債券の種類について関心を持たれた方も多いと思います。改めて債券の種類・概要・注意点等をお伝えできればと思います。


(1)債券の種類


以下の図は債券ごとのリスク・リターンの一覧になります。
縦軸がリターン、横軸がリスクになり、右に行けば行くほど債券投資の中で高リスク・高リターンの投資になります。
次の章からリスクの低い順に概要・注意点等をご説明できればと思います。

債券ごとのリスク・リターン
作成:ウェルスパートナー

(2)普通社債

企業や政府が発行する一般的な債券です。
債券の満期までに、発行体の企業が倒産しなければ、投資した通貨ベースで元本が帰ってきます。

(3)劣後債

・弁済順位が遅い

名前の通りで普通社債よりも劣後する点がある債券になります。
企業が倒産した際のお金が返ってくる順番(弁済順位)が普通社債よりも遅い(劣後する)ので劣後債という名前になります。
このリスクが顕在化するタイミングは発行体の倒産したタイミングになります。

(4)永久劣後債

・満期がない!?

まさかだと思いますが、名前の通りの債券です。
劣後債のリスクに債券の満期が存在しないリスクが上乗せされた債券です。ですが満期がなければ一生投資元本が帰ってこないことになるので、そのような債券は誰も買いたくないと思います。
なので期限前償還条項がついています。

・繰上償還条項

繰上償還条項とは、債券を償還するか償還をスキップするかを発行体の判断で決めるという条項になります。
スキップ後は毎年の利払日毎に償還の判断をするものが多いです。
注意点としては、債券を償還するかは発行体が決めるので、ある時期に資金使途が決まっている資金での永久劣後債への投資は不向きです。
投資家も繰上償還される前提で債券を購入するのでスキップすることは発行体にデメリットもある為、多くないですが以下のケースだとスキップもあります。

償還をスキップする場合はどういう時か

・経済ショック等で再発行が困難な場合
例えば、リーマンショックがあった2008年から2009年に期限前償還を迎えていた永久劣後債は償還がスキップされたものが多かったです。
市場全体がパニックになっている局面で償還させてしまうと高金利でなければ債券を発行できない場合が多く、償還するよりも継続した方が経済合理性があると発行体が判断した際にはスキップする場合があります。

・発行体の財務状況が著しく悪化している場合
発行体の財務状況に疑問符がついている状況で償還させてしまうと、再度調達する際に高金利でなければ調達できないことが考えられます。
償還するよりもスキップした方が経済合理性があると発行体が判断した際にはスキップする場合があります。

・償還スキップ後の金利が割安な場合
繰上償還は「コールスキップした場合の利率」と「償還し新たに債券を発行した場合の利率」を比較し、経済合理性の高い方を選択します。
償還を見送った後の金利の決まり方が2パターンあります。

・固定金利
例えば、償還スキップ後の利率が2%・米国10年国債の金利が3%
と仮定すると米国債と比べて固定金利が割安に設定されています。このように割安に金利が設定されているものはスキップされやすいです。

・固定金利+変動金利
変動金利の部分はその際の市場の金利に連動するのでいいですが、固定金利の部分が著しく低い場合があります。
基本的には固定金利のものではなく、固定金利+変動金利で固定部分が高い(2%後以上)債券を選ぶことがいいと思います。

(5)CoCo債

CoCo債はクレディスイスの件で話題になった債券で永久劣後債のリスクにCET1トリガーリスクが上乗せされた債券になります。
自己資本比率が基準値を下回る等のあらかじめ定められた条件に抵触した場合に元本の一部または全部が削減されたり、強制的に株式に転換される条項がついている債券です。
今回のクレディスイスの件は、後述するCET1トリガーではなく、金融当局による判断(元本削減条項)で無価値になりました。詳細な条項はCoCo債毎に異なるのでしっかり確認する必要があります。

・CET1比率

CET1比率とは、CoCo債を発行する金融機関の自己資本の中で、株式で資金調達した資本や内部留保などの純粋な資本だけを指します。
このCET1をリスクアセット(保有資産額に対して資産のリスクごとに決められた割合を掛けて算出する)で除した数値をCET1比率と呼びます。

CET1比率
作成:ウェルスパートナー

CET1比率が高いほど金融機関の健全性が高くなります。CET1比率が下がる場合は、業績が悪くなりCET1が少なくなるか、リスク資産の保有が増えることでリスクアセットが増えるかになります。
CET1比率が8%以下になると国際的に業務を行えないルールもあるので、金融機関はCET1比率を高めることが大切になります。

・CET1トリガー

CET1トリガーとは、CET1比率がある一定の水準を下回ると、投資元本が毀損もしくは株式転換する可能性があると定められている条項です。
このCET1トリガーに該当すると大幅に投資金額が元本割れしてしまう可能性があります。
CoCo債の銘柄によって異なりますが、CET1トリガーは、金融機関のCET1比率が5.125%か7%を下回った場合に発動することが多いです。

まとめ

債券には様々な種類があり、リスク・リターンが異なります。
ご自身の目標リターン相談しながらどの種類の債券に投資すべきか考えるべきだと思います。
無料の個別面談を実施しております。
無料個別相談は、お客様の資産状況やお悩み、投資に対するお考えをお伺いしながらアドバイスやご提案をさせて頂きます。
個別面談のお申し込みは以下フォームからお申し込みいただければ幸いです。
今後ともよろしくお願い致します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?