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CoCo債投資のポイント【債券の基礎シリーズ⑯】

こんにちは
ウェルスパートナー(https://wealth-partner-re.com/)で富裕層向けIFAをしている藤村大星(https://twitter.com/wp_fujimura)と申します。

今回は架空のCoCo債を例にしてポイントを解説しています。一部永久劣後債と重複する点があるので、CoCo債ならではのリスクに絞って解説します。

永久劣後債投資のポイントは以下記事で解説しています。


(1)CoCo債とは

永久劣後債のリスクに
「発行体金融機関の自己資本比率(CET1比率)が定められた水準を下回った場合などにおいて、元本の一部または全部が削減される、または、強制的に株式に転換されるなどの仕組み(CET1トリガー)」が上乗せされた債券です。
CET1比率やCET1トリガーという聞き慣れない単語が出てきましたが、本記事の後半で解説しています。

以下のCoCo債の基礎知識という記事でも解説しています。

↓CoCo債の基礎知識↓

国債・普通社債と劣後債、永久劣後債よりもリスクが高い分、利回りが高くなっています。

債券種類ごとのリスク・リターン

(2)CoCo債の一例

架空のCoCo債を例にしてポイントを解説していきます。
【Aホールディングス 米ドル建永久劣後債(偶発転換条項付)】

  • 期間:満期はなし、2028年10月10日以降、5年に一度、発行体の裁量で、発行額の全部または一部を繰上償還可能

  • 利率:2028年10月10日まで年率7%、それ以降:米ドル3ヶ月Libor + 3.5%(5年ごとにリセット)

  • 利払い停止条項:発行体の裁量により、利払いの一部または全部を停止することができる(非累積型)

  • CET1トリガーリスク:CET1比率が連結ベースで7.0%を下回った場合、その他の損失吸収特約付商品との比例配分で本債券の元本は削減される。

  • 発行体格付:A+

  • 債券格付け:BBB−

(3)利払い停止条項

債券は利払日が年2回設定されており、その日に利払いがされます。しかし、利払いがされないとデフォルト(債務不履行)になります。

しかし、CoCo債には発行体の裁量により、利払いの一部または全部を停止することができます。
通常の債券の場合で仮に2ヶ月間利払いが停止された場合は、発行体は利払いが再開されたタイミングで支払っていなかった2ヶ月分の利払いを累積して投資家へ支払う必要があります。

しかし、CoCo債は非累積型なので、発行体は支払っていなかった2ヶ月分の利払いをする必要がなく、投資家は2ヶ月分の利払いを受け取ることはできません。

(4)CET1トリガーリスク

これがCoCo債の一番のリスクです。
まず、CET1・CET1比率・CET1トリガーリスクについて解説します

・CET1とは

CET1とは、CoCo債を発行する金融機関の自己資本の中で、株式で資金調達した資本や内部留保などの純粋な資本だけを指します。

・CET1比率とは

このCET1をリスクアセット(保有資産額に対して資産のリスクごとに決められた割合を掛けて算出する)で除した数値をCET1比率と呼びます。

CET1とCET1比率
作成:ウェルスパートナー

・CET1トリガーとは

CoCo債には
「金融機関の自己資本比率(CET1比率)が、あらかじめ定められた水準を下回った場合などにおいて、元本の一部または全部が削減される、または強制的に株式に転換される」
という条項がついておりこの条項をCET1トリガーと言います。

⚠️CoCo債のCET1トリガーは5.125%か7%が一般的です。
CET1比率が5.125%か7%を下回った際は、元本の一部または全部が削減される、または強制的に株式に転換されるということです。

今回の例だと「CET1比率が連結ベースで7.0%を下回った場合、その他の損失吸収特約付商品との比例配分で本債券の元本は削減される。」とあります。
これはCoCo債によって違うので投資する際は要チェックです。

実際にここまでCET1比率が低下する状況はとんでもなくまずい状況に陥っていると思っていいです。

以上、CoCo債投資のポイントでした。

他に資産運用に関する記事を書いています。
以下のリンクが目次になるので併せてご覧ください。

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