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人体に追加したい[防御]機能

 人体には守りが甘い部位が多い。つまり、防御力を高めるのびしろがある。

 その一つが「目」だ。外の世界を映像として認識するために必要な唯一無二の器官であるにも関わらず、うっすい膜一枚が守っている。その防御力は雪見だいふくの大福部分以下だ。

また、その大福のような膜は目の表面を乾燥させまいと目にビッチビチにくっついている。
目についた異物を掃除する機能もあるのだろうがかえって目に異物を押し付けている。


涙は目を乾燥から守り、異物を洗い流してくれる。しかし目と瞼の間の隙間が少ないため、大きめの異物が挟まったときにはシクシク泣くのでは足りない。トイレの流しレバーでいうと「大」に相当する強めの水流が必要だ。

そこで、瞼をガチャガチャのカプセルのような形の頑丈な骨にし目との間には広めのスペースを作ってはどうか。天井から涙が出る仕様にしておけば、滝の裏側のにいるような清涼感も得られるだろう。それでも取れにくい異物は瞼と眼球の間を直接水で洗うことで解決できる。

また、眼窩にカポッとはまっているとはいえ、筋肉や神経で繋がっているだけでそれだけでは心もとない。眼球はただ収まっているだけでなく、眼球自身も外に出されない努力が必要だ。そのため眼球自体の形状もまん丸から、眼窩にしがみつける突起のついた形状に変更したい。




 次に必要なのは、メンタルの強さだ。人間の世界には受け入れられないような矛盾や辛い出来事が沢山転がっている。普段から税金を払っているにもかかわらず、ものを買うときに更に税金を取られるし、平日は休日の2倍以上の日数ある。そして物価は日に日に上がっているというのに給料は上がらない。

身体の守備力の上昇に合わせて、精神的な守備力も上げる必要がある。心にも鎧が必要だ。では人間を癒し、心の鎧となれる存在とは何か。

だ。

しかし、何も本物の猫を体に移植しようということではない。猫に似た器官をつけたい、ということだ。つまり猫アレルギーを気にしなくてもよい。


体の一部に猫にすることの意義は大きい。オービスが光っても、キャッシュカードが見当たらなくても、訳のわからない上司が訳のわからない要求をしてきても、心の安寧を保つことができる。



ではどこを猫にするか。
最もおすすめなのは手の小指だ。常に視線に入りやすく、片手でも撫でやすい。どんなコワモテ上司も、小指を立ててゴメンニャサイすれば許してくれるに違いない。

次におすすめなのはだ。首を傾けるとすぐにスリスリ出来る。しかし常にスリスリしてしまう可能性が高く、首コリの危険があるので片方ではなく両肩とも猫にしてしまう方が安全だろう。
最近ちょっと距離のあった恋人も肩を抱き寄せてくれるに違いない。



また、メンタルの弱さを自覚している方には前腕がおすすめだ。小指と同様に常に目にする場所であり、撫でやすい。小指よりも面積が大きいため、より強く猫を感じることができ、抱っこもできる。ほぼ、猫だ。

疲れた心を猫によって常に癒し続けることにより、受けたダメージが無効化される。

つまり、そう。無敵だ。


 では次の弱点だ。人体には不可思議な点が山ほどあるが、その構造についてとりわけ疑問を感じる部位がある。ファニーボーン(funny bone)睾丸(kin-tama)だ。



まずファニーボーンとは何か。肘には尺骨神経という神経が通っているのだが、肘を曲げる際にその神経が引き延ばされて皮膚側に露出する。そのためそこをぶつけると、強い痺れと痛みが生じる。その魔の区域をおかしな骨こと、ファニーボーンと呼ぶのだ。

後ろの席を見ようと振り向いた途端に背もたれが凶器に変わる。その出来事こそがファニーボーンの正体だ。

しかし、肘と同じ蝶番関節をもつ部位は指や膝などがあるが、いずれもファニーボーンのような現象は起こらない。なぜ肘だけ大切な神経が露出する作りになっているのか。そこで、肘も膝を真似てお皿をつけてみるのはどうだろうか。

ビリビリに怯えて振り返る生活から解放されるのはもちろんのこと、エルボーの威力も格段に増す。また、肘をついての食事やテレビ鑑賞も今より楽になるため、反抗期の娘の食事時間や、風呂上がりのお父さんのテレビ鑑賞時間はより長くなるだろう。


 次に、睾丸(kin-tama)についてだ。これは多くの人が持っている疑問だと思うが、なぜ睾丸は外付けなのか。


一説によると精子が育つためには35度以下の環境が必要であり、熱から精子を守るためぶらさげているらしい。(冷却仮設)

しかし、人体には他にも脳などの熱に弱い部位があるが外に剥き出しになってはいない。それは脳と睾丸には耐熱温度が体温より低いか、高いか、という違いがあるためなのだが、精子が体内に入るために耐熱に進化したのか、元々体温の高い場所でも機能していたが、何らかの影響で体外に脱出したために温度の低い場所で機能するように進化したのかは諸説ある。


哺乳類の中でも睾丸を体内に戻すことに成功している動物がいる。ゾウやサイ、カモノハシやオットセイだ。これらの動物の睾丸は腎臓の横など、体内に収納されている。完全に水中で生活をしているクジラ・イルカ・ジュゴン・マナティも同様に睾丸が腹腔内にある哺乳類である。水中生活においてぶらぶらと睾丸をぶら下げておくことは、水の抵抗を受けやすく、命取りとなる。しかし、体の外に大切な臓器をぶらぶらぶら下げていることが命とりなのは陸上でも変わらないだろう。

ギャロッピング(全力疾走)仮説では、体内に睾丸があるとオス同士の戦いで、お腹に攻撃を受けた場合、危険であるため遺伝情報を守るべく体外に脱出したという。


現代において腹部を攻撃される危険と、歩行中太ももに挟まれたり、股を蹴り上げられたり、ぶつかる危険性を比較すると後者の方が高いだろう。
体内にある臓器が損傷することは人生において稀であるが、睾丸だけは頻回に痛い目に合っていることからも明白だ。

とにかく睾丸は体内に収納できそう、ということである。なのでこの弱点の塊のような代物を一刻も早く体内に収納させたい。


女性の卵巣のように、下腹部に収納するもよし、カモノハシのように腎臓の横に収納するものよし、オットセイのように太ももに収納するのもよい。しかし最も現実味があるのは、同じ構造をしている人間の女性の卵巣の位置を真似ることだろう。
一刻も早く男性が睾丸を体内に収納できることを願っている。


他にもはじめに書いた、人体に追加したい機能についての記事で、首と腹部の防御力の低さを理由に、軟骨の設置や肋骨延長が必要との意見を書いている。


また、人体の毛の配置についての記事では、アキレス腱や鼠径部、耳についても守りが甘いため毛による防御が必要だと意見を書いた。もし興味と時間があれば読んでいただけると幸いだ。


以上、弱点を減らし、防御力を極限まで高めたい作者の一意見であった。


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