あるイベントの運営から身を引いた話。
自分の役割が消えていくことは良いことだと思っています。
理由があって2016年に藤本がはじめた「あままままるしぇ」ですが、どんどん広がっていき、次回が第6回です。
※あままままるしぇ
https://www.facebook.com/amamamamarche/
さまざまなツールや手段がある中で、あえて今リアルの場をつくることにどんな意味があるのか。「あままままるしぇ」は、とある友人(主婦)の声からスタートした取り組みでした。
「わたしのつくっているものなんて」
「お金がなくてつくっているだけだから」
彼女はよくそう言っていました。それでもつくっているものはとってもかわいかった。素敵でした。だからぼくになにができるだろうと考えました。もちろんネットで販売する手段もあったと思います。その方法を教えることもできた。だけどぼくにできる一番のことは、実際に場をつくりリアルなコミュニケーションを生むこと、そのことによって彼女をエンパワーすることのような気がしました。見えない誰かに買ってもらうことではなくて、今目の前にいる人が自分の作品を買っていく瞬間を体感することじゃないかと思いました。
1回目。2回目。
そうやってイベントを続けていくと、彼女の作品はいつしか百貨店の展示にも並ぶようになりました。これはとってもうれしかった。成果だと思いました。やってよかった。
だけど難しいところもありました。主催者と出店者・関係者が入り混じり、お互いが自分ごととしてイベントを捉えること、関わり合ってつくりあげていくことを大切にしたいと思っていたのですが、そうはならなかった。出店者は出店者、運営側は運営側と分かれてしまった。この熱量のグラデーションは、イベントや場をつくるときの永遠の課題だと思っています。当然グラデーションを許容し、さまざまな関わり方を受容することはとても大切なことです。でも「なんのためにやっているのか」「なぜこの場をつくる必要があるのか」ということを関わる人が自分の言葉で口にできること、深いレベルで理解しておくことは大切なことだと思っています。そして、当時の自分にはそこを促していくスキルやコミュニケーションが不足していた。ただただできなかったんです。
そうしてぼくは運営から身を引くことにしました。3回目以降は別の方に運営をやってもらおうと思いました。だれもいなかったら終わってもいい。そう思っていました。そんなときに手を上げてくれたのが今の実行委員会メンバー(ココスキ:主婦のクリエイターチーム)です。
※ココスキ
https://www.facebook.com/cocoroskip2017/
彼女たちは経験がない中でいろいろなチャレンジをしてくれました。屋外での開催にもチャレンジ。一度は雨に泣かされるも、現在では阪神電鉄さんやキューズモールさんとも協力し、イベントをつくっています。
藤本(未婚男性)には見えない視点で物事を考えてくれました。彼女たちは一時預かりをセミナーに組み込み、子連れでも参加できる状況をつくってくれました。クリエイターに必要な「発信」について体系的に学べるセミナーです。
一歩目の人に寄り添いながら場をつくってくれました。当日会場に行くことは難しくても自分のつくってみたものを展示販売するスペース、上で書いたような細やかなサポート体制の充実など、いろんな気配りをしてくれました。
地域の方々との関係性づくりやあまぱぱ(父親・プレパパ)の巻き込みにも力を入れてくれました。それはつまり、女性や主婦を直接的に支援するだけではなく、ネットワーク的に地域全体を編み直していく取り組みでもありました。
もちろん、難しいこともできていない部分もあると思います。だけど責任を引き受けてやっている彼女たちの姿にぼくはいつも感動しています。ありがとう。
藤本が運営を離れてから2年以上経ちました。最近ではほとんど情報も入ってきません。相談も入ってきません。さみしいです。進捗くらい教えてくださいよ。だけど着実にその可能性を広げているし、価値を生んでいると思っています。ぼくは彼女たちの躍進を応援するばかりです。
この活動を続けていく中で思っていることがあります。ぼくたちは、女性活躍社会をつくりたいとか、ママの居場所をつくりたいとか、そういう大きな主語や物語で語ったことはないんです(便宜的に言う場合を除いて)。
最初にぼくに話を聞かせてくれた森田さんという女性がいたというそれだけのことなんです。彼女の話を聞き、その人と一緒になにかできたらいいなというそれだけなんです。でもそれはきっとどこかでだれかとつながった感覚だ、そんな確信はありました。
大それた物語もいらない。大きな主語もいらない。見過ごされてしまいそうななにかやだれかとともに場を紡いでいくこと、それが大切なことなんじゃないかとぼくは思います。ぼくもあなたも見過ごされてしまう小さななにかかもしれない。でもだからこそ一緒になにかがやれるのだと、そういうふうにぼくは思っています。
イベントを企画すること、場を運営するということは難しいです。さまざまな人と丁寧にコミュニケーションをとる必要がある。ぼくも失敗を重ねてきました。だけどそうやってチャレンジできる場があること自体が素晴らしいし、失敗しても受け止めてくれる仲間がいるということがまた素晴らしいことじゃないかと思います。
でも、進捗くらいはやっぱり聞かせてほしい。次回のイベントは、3月24日(日)に兵庫県尼崎市で開催です。関心のある方は、ぜひどうぞ。
■あままままるしぇ vol.06
https://www.facebook.com/events/351359478998664/
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