iPhone11その後の驚き
iPhone11のカメラ機能が良いというのは、既にいろいろなところで評価されているけれども、実際に使って少し驚愕だった。
端的に言えば、「手ぶれ補正」の向上につきるような気がする。
カメラという機能のみに特化して言えば、当然スマホのレンズは極小だから、一眼レフのような大きなレンズにかなうはずもない。スマホのカメラ機能の充実で、すっかり影を潜めてしまった低価格帯のデジカメも、レンズの大きさだけ言えば、全然スマホに勝っている。
実際のところ、Stylus XS-10(数年前に1万円程度で購入。当時既に製造中止だったのだが、どの店に行っても、1万前後の低価格帯なら、このカメラ一押しと言われたオリンパスのデジカメ)との比較になるが、静止画だけの比較なら、XS-10の方がきれいではないかと思う。
比較のためパソコンに取り込んで23インチモニターで引き延ばしてみるが、粒子とかは、それほど差がないように見えるが、ぱっと見のクリアさは、XS-10だろうと思う。
ただしこれは、写真を撮る時の理想的な条件の場合だ。
十分に光量があり、足場が良くて、しっかり持って撮影できるときだ。
この手の小型デジカメだと、三脚を立てて撮影することはまずない。携帯性がいいから使うタイプのカメラであって、三脚を立てるほどだったら、もっと高級な一眼レフを使うだろう。
となると、手持ちで撮影する前提の比較となる。
すると、少しでも撮影条件が悪くなってくると、iPhone11が威力を発揮し始める。
例えば、走行中の車の中から外の景色を動画で撮影するとき。
手ぶれ防止機能の差は歴然である。
XS-10でもぶれぶれになるわけではないが、iPhone11には全く及ばない。再生して「ゆれてるなあ」と感じる。しかしiPhone11は、その揺れをほとんど意識しない。車の疾走感がでて、とてもいい。
もう一つ、長時間露光は素晴らしかった。
どちらのカメラも、夜の撮影を得意とはしていないだろう。光量不足でどのくらい撮影できるかという能力で言えば、レンズの大きさから見て、XS-10だろうと思う。どうしても光量不足の場合は、レンズが大きい方が強い。取り込める光が多くなる。XS-10も小型デジカメにしては、かなりよく撮れる方で、少々暗くて、光量不足でもシャッターが切れる。
カメラによっては、光量不足だとシャッターすら切れない場合もある。
だからレンズ性能では、決してiPhone11が勝っているわけではないと思うが、ここでも手ぶれ補正の性能がものを言う。
長時間露光の場合、手ぶれが起きると、ぶれぶれの写真になる。露光中動かさないようにしないといけない。それを三脚なしにするのは難しい。
iPhone11を使ったことがある方はご存じだろうが、長時間露光になると、シャッターを切ったとき、右手にタイマーが出て、露光時間を示す。そのとき「カメラを動かさないでください」の文字も出る。同時に、ディスプレイ側の画面は、真っ暗なところからだんだん明るくなり、被写体がくっきり見えてくる。そこで二度目のシャッター音がして、露光が終了する。
普通のカメラだと、今どのくらい露光が進んだかは、時間でしかわからない。だが、画面がだんだん明るくなってくると言う表示は、わかりやすい。
冬の湖で、対岸の街の灯りと、その後ろにある山、そして山が湖に映っている景色を撮ってみたが、山の輪郭と、ある程度のディテール。それから湖に映っている山陰も映っていた。
写真の質を問うなら、一眼レフにはかなわない。しかし手軽なスマホでここまで撮れるとすると、かなりいい。
ほとんどの人は、スマホの写真をわざわざ紙焼きしないかもしれないし、スマホのディスプレイで見ることが多いかもしれない。小さい画面で見るなら、十分な画質だ。
iPhoneは、レンズ機能の向上として、広角、標準、望遠の3つのレンズをつけてくると言う試みをしているが、これはいいかえれば、スマホにつけられる小さいレンズでは、レンズそのものの性能向上に限界があるからだ。
レンズ機能としての問題は、光学ズームが使えないことで、これは望遠にしたときの画質に直結する。私もこの問題があるから、あえてデジカメを使っている(デジカメは光学ズーム)のだが、レンズが3つになったことで、多少の改善はあると思う。それでも、3種類の写真が撮れるようになったというだけで、その3つの間をつなぐのがデジタルズームである以上、まだデジカメの画質には及ばない。
しかし、この部分の改善はかなり難しいだろう。
そこで手ぶれ補正という機能向上によって、カメラ機能の向上を図ってきたという事なのだろうか。
それはかなり成功している。