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政治家の息子に常識はない。

 管総理の息子が、東北新社という会社に勤めていて、総務省の幹部を接待したという事で問題になっている。役人は、接待を受けてはいけない。特に自分が監督する立場にある民間企業からの接待は受けてはいけない。だから、民間との宴会は全て割り勘。それも1万円を超える飲食には、いちいち許可が必要。

 という話になっているそうだ。

 今回の事件について、40才も過ぎた総理の息子が、こうした会合がいけないと言うことがどうしてわからなかったのか、という疑問を述べたコメンテーターがいた。

 その答えは、「政治家の子供だからわからないんだよ。」である。


 政治家の息子には3パターンしかない。

1.親の七光りで、能力以上の役職に就き、甘い汁を吸いまくり、後に親の七光りがなくなったときに身を持ち崩す人生。

2.親とは一線を画し、親の影響がほとんどない場所を選んで就職し、親が政治家である事を一般的には隠して、ともかく親と自分は別人格だと貫いて生きていく人生。能力があれば、それなりの成功を。能力がそこそこでも、人並みの幸せな人生を送る。

3.親のために全てを捧げ、親の踏み台になることをいとわず、親が政治家を退いたあとには、下手をすると、金銭的にも、立場的にも、恵まれない人生を甘んじて受ける。

 私がおすすめするのは、2。

 別に親と縁を切れとは言わない。単なる家族の中に政治家がいる。というスタンスを通せばいいだけだ。

 しかし親が政治家だと、当然最初はかなり苦労して政治活動をするから、家族としては手伝ってやりたいと思うのが人情。実際政治家という家業は、ちょっとマフィアみたいなところがあって、周りに信用のおけない人間が集まってきてしまうところがあり、信頼できるのは血のつながった相手だけ、という意識が強くなってしまうことが多い。政治家をやる人はおおむね自己チューの人が多いので、使えるものは親でも使うのはもちろん、誰でも平気で使い、その先のことは考えない人が結構いるので、家族として生まれて、使える人間だったとしたら、どんどん使われる。

 だが世間から見れば、親の七光りで得をしている人生と思われがちで、自分で努力して成した成果も、親のせいで下駄を履かせてもらったんだろうと、常に疑われることになり、能力のある人ほど、理不尽な立場に置かれることがほとんどだ。

 でも人情としては親を無視できない。しかも親は手伝うのが当然という人が多い。周りもそれが当然という人が多い。

 この状況下で何が起こるかというと、2で十分世間で渉っていける、もしくは十分な成果が上げられる優秀な子供は、ともかく親から離れないと、理不尽な人生を強いられる。しかし情も深い子供だと、黙って親の面倒を見ることになり、実にいい手助けをするが、その結果、親が政治家を辞めた時点で、能力にそぐわない、恵まれない人生に落ちる可能性が高い。

 本当に理不尽な話だ。

 だからともかく親から逃げろと言いたい。

 もし人情として親の手助けをしないことに後ろめたさがあるなら、こう考えていてはどうだろうか。

 政治家は、実はうたかたの商売である。選挙に負ければただの人。選挙にお金がいるので借金を抱えることもある。人にもてはやされることもあれば、急転直下バッシングを受ける事もある。政治家として名を売ってしまうと、普通の仕事に戻れない。実際若いときから政治をやっている人のほとんどが、普通の仕事をするスキルがない。

 こんな政治家の親が、何らかの理由で政治家を辞めたとき、その生活をどうやって保証するのか。例えば、急に失脚したときなど、どうしたらいいのかと考えたら、「選挙に落ちたら、生活の面倒ぐらい見るよ」といえるのが本当の親孝行だと思うんだが、どうだろうか。

 これを言うためには、親とは全く別の世界でちゃんと生計を立て、親の面倒を見るぐらいの力を持っていないといけない。親の失脚で自分も共倒れではダメなのだ。

 親も、子供がかわいいなら、遠ざけることだ。

 子供の人生本当に考えるなら。

 でもそういうこと考えない人が政治家には多い。


 1の人が、結果として3になったケースはあると思う。

 本来なら、2になれるように、教育をするのが親の役目だが、なにぶん自己チューの政治家はそんなことを考えない。その子供の資質や、親の無関心から来る教育の欠如から、どうしても一人では世間に入っていけないような状況の時、親のそばで、ともかく出来る範囲の仕事をして尽くしていくという事はあるだろう。政治家の間、親は手元に置いて養う。結果として親が失脚すると糧を失ってしまうわけだが、そして3の人生になるわけだが、それはある意味親子の持ちつ持たれつだったとはいえる。

 親は子供より先に死ぬので、親が死んだあと、その子がなんとか生きていけるようにしてあげるのが、このケースの親の役目のような気もするが、まあそれも今では難しいかもしれない。

 このパターンは、昔は娘によくあったことだ。

 女性は男性のように社会に出て働けない時代、能力があっても、生かす場がない。たまたま親が政治家だったら、裏方として働き、親の面倒を見て、最後に親の失脚と共に仕事も失う。ただそんな人はたくさんいたので(政治家に限らず、どこの家でも)別に奇異ではなかったし、本当はその途中で、有望な男性と結婚して、その男性の助力も得ながら、親の手伝いをしていれば、これは親がだめになっても生きる場所を確保できるので、非常にいいパターンだった。

 つまり娘は、自分の社会的立場を夫に持たせることが出来るので、使い放題しても、割と上手くまとまるいい駒だったわけだ。

 だが、現代においてこれも成立しない。女性が自分の社会的地位を、夫に持たせるなどと言うことは、なくなってきているだろうし、女性自身がそのようなことを望まなくなっている。結婚が女性の必須条件でもない。従って、娘は既に駒ではない。

 かつては、政治家において、世襲で自分の息子に地盤を継がせるのが、一番いい関係性だった。仕事を手伝わせ、鍛え上げ、優秀になった息子に地盤を譲るわけだ。しかし世襲そのものが問題だと言われている現代、このビジネスモデルも褒められたものではない。そもそも政治家は家業ではない。

 結果として言えば、政治家の親が子供に対して取るべき行動は、全ての子供が自分とは別の分野で生きていくようにすることだ。まず政治家を継がせない。自分のそばでは絶対に働かせない。商家とは違うので、親の仕事を手伝ったところで、スキルが上がるわけでも、社会勉強が出来るわけでもない。正直政治家の下働きなど、一般人には百害あって一利なしである。(それでは困るんだが、実際そうなっている)

 しかも政治家自身の子供とわかれば、周りはまともに扱わない。そんなところに大切な未成年の時代を置いて、いい事は1つもない。

 政治家が身内にいて、個人的にいい事は1つもない。百害あって一利なしだと思っている。ただ身内としての情として、あくまでも個人的な人間関係はあるだろうし、その意味でのよい関係は存在しうると思うが、それ以外には百害あって一利なし。普通の仕事している親だったら、もっと良かったのにと思わずにはいられないだろう。

 管総理は、インタビューに対して、ここに書かれているようなことをきちんと実践している(子供に政治家を継がせる気はない)と言っているようだが、現実は逆のようだ。親が子供にしてやれることは、未成年の時代に、教育と養育をすることだけで、それ以上は子供に任せるしかない。だから一人で世間で生きていけるように育てることが親の役目だと思うが、現実に、管総理の(もしくは管官房長官の)影響力のあるところで、今回のような問題が起きているわけだから、結局親としてだめな対応をしたと言うことだ。

 自分から積極的に子供に働きかけなくても、問題を起こさないように、あえて遠ざける、あえて自分の周りから切り離す事をしなければいけない。政治家である親が、積極的にそうやって守らなければ、政治家の血縁の者は、狼の中に放り込まれた羊のようなものだ。自分の考えや自分の力で、まともな羊に育つことはまずあり得ない。

 狼の皮を被って、狼のように振る舞い、そして最後には、その化けの皮をはがされて、狼に食い殺されるだけだ。

 というわけで、管総理もやっぱりだめな親だったということで。

 

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