競売入札シミュレーション 神戸地裁本庁R2.6.23開札⑤

今回は神戸地裁本庁の競売物件ですが、神戸市内ではなく淡路市の物件を取り上げてみたいと思います。

住戸ではなく、倉庫・作業所・事務所の物件です。

こちらも入札期間は6月10日~17日です。
開札が6月23日となります。

事件番号 令和01年(ケ)第10023号
売却基準価額 4,000,000円
買受申出保証額 800,000円
買受可能価額 3,200,000円

種別:土地
物件番号:1
所在地:淡路市志筑
地目(登記):宅地
土地面積(登記):208.26m2
用途地域:都市計画区域内未指定
建ぺい率:70%
容積率:200%
種別:建物
物件番号:2
所在地:淡路市志筑
種類(登記):工場
種類(現況):倉庫・事務所・作業場
構造(登記):鉄骨造陸屋根2階建
床面積(登記):
1階 :137.78m2
2階 :137.78m2
敷地利用権:所有権
占有者:債務者・所有者
築年月:昭和52年2月

このようになっています。
では、3点セットを見ていきましょう。

■ポイント■
★物件明細書より
・買受人が負担する他人の権利はありません。
物件目録を見ると
土地は個人所有(法人の代表者)が所有しているみたいです。
建物は代表者が経営する法人です。
※謄本を取得して内容を確認していません。あくまでも物件目録の記載に基づいています。

★現況調査報告書より
1.敷地の利用については使用貸借。
2.占有開始は昭和52年からスタートされています。
3.動産等を残置して占有。

※関係人の陳述
本件建物所有者代表者
1.昨年2月にやめている。
2.隣地での境界でのもめ事なし。
3.屋上防水をやり直したが雨漏りが止まっていない
破産管財人事務員
1.破産事件は令和元年に終了している。
2.本件土地、建物は、上記破産事件の継続中に残団放棄している。

※土地関係図において所有者の考えと図面との間で解釈の相違があるようなコメントが掲載されている。

※室内の写真及び間取りより
1.1階は倉庫と事務所・2階は事務所と作業場となっています。
2.室内写真では荷物が多く残っています。
3.雨漏り跡が何枚か写されています。
・室内の荷物の処分費・雨漏りの修繕費を考えるとそれなりの費用がかかりそうなのが写真からも伺えます。

★評価書より
1.前面道路に公共下水管が埋設されているけども接続はされてなく敷地内の浄化槽で処理されている。
2.接道する前面道路は建築基準法42条2項道路のため将来建替えにあたってセットバックが必要になる可能性がある。
3.経済的残存耐用年数約5年程度。
4.駐車スペースなし
5.建物の状態
老朽化以外に震災の影響を受けている可能性も否定できない。
・評価人の現在の土地、建物の価格は998万円です。

【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】

正直なところ場所が場所だけに賃料の設定がかなり難しいです。
念のためレインズでの成約事例を検索しても出てきません。
現在募集されている物件でみると
1.店舗事務所(平屋建て)
面積約119㎡、駐車場10台つきで賃料が15万円
㎡単価|1,260円

2.店舗事務所(2階建ての1階部分)
面積93㎡、共用駐車場利用無料で賃料が12万円
㎡単価|1,290円

共に主要な幹線道路もしくは幹線道路近くのようです。
今回は幹線道路沿い等ではないので家賃は低く考えてみます。

利用用途としては、駐車スペースがないのと店舗利用というよりも工場利用なので低めにします。

建物の利用できる面積が1階と2階の合計約275㎡ありますので、㎡単価は上記参考の半額で600円/㎡とします。

600円×275㎡=165,000円となりました。

この金額を家賃として設定して計算しますと

16.5万円×12ヵ月=198万円

計算式1
198万円÷400万円×100=49.5%(表面利回り)
かなりの高水準ですね!

そこに室内の残置物の処分代と雨漏り修繕費として300万円と仮定して計算すると

計算式2
198万円÷700万円×100=28.28%(表面利回り)
となりました。

ただし、場所柄どれだけの需要があるかが一番問題なのでその点を踏まえて入札をされる方はご検討くださいませ。
個人的には現時点では入札を見送る物件ですね。

開札結果が6月23日なのでそれ以降でまたご報告しますね!

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?

現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。

併せて読んで頂けたら幸いです。


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