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競売入札シミュレーション 大阪地裁本庁編R2.10.2開札③

今回も大阪地裁本庁からです。

ピックアップする物件は【連棟タイプ】です。

入札期間は9月18日~9月28日です。
開札期日は10月2日となっています。

事件番号 令和01年(ケ)第922号
売却基準価額 2,040,000円
買受申出保証額 410,000円
買受可能価額 1,632,000円

種別:土地
物件番号:1
所在地:寝屋川市音羽町
地目(登記):宅地
土地面積(登記):27.40m2
用途地域:第二種中高層住居専用地域
建ぺい率:60%
容積率:200%

種別:区分所有建物
物件番号:2
所在地:寝屋川市音羽町
種類(登記):居宅
構造(登記):木造瓦葺2階建
専有面積(登記):
1階:21.96m2
2階:21.22m2
専有面積(現況):
1階:約22.86m2
2階:21.22m2
間取り:3DK
バルコニー面積:不明
管理費等:
敷地利用権:所有権
占有者:債務者・所有者
築年月:昭和48年11月
階:1階と2階
総戸数 4

■ポイント■
★物件明細書より
3.買受人が負担することとなる他人の権利
【物件番号1,2】
なし
4.物件の占有状況等に関する特記事項より
【物件番号2】
【A】が占有している。同人は所有権を主張している。
5.その他買受の参考となる事項より
なし

★現況調査報告書より
・その他の者が本建物を居宅として使用している。
・占有者【A】の占有開始時期は平成6年6月と記載があります。
・目的土地の南側接面道路は、幅員約6.6m(側溝含む)の建築基準法上の道路である。
・目的建物内には、家財道具、日常生活用品等の動産類が存在する。
・目的建物1階北側には、約0.9㎡の増床部分が認められる。同部分は目的建物と接合し、不可分一体としてりようされていることから附合していると認められたため増築と認めた。
・2階各和室の畳の緩み及び建物が東側に傾きがあるように感じられた。

※関係人の陳述等より
・占有者より
①目的土地建物は息子(債務者)の名義で買いましたが、ローン審査は息子の方が通りやすいと言うことで、息子の名義になりました。支払は占有者がしてきましたので、占有者が所有者だと思っています。息子からはローンの支払はありません。競売を申し立てられたのは息子(債務者)の破産手続きが開始されたからです。
②以上の経過から目的不動産について賃貸借契約は無く、賃料の支払もありません。
③目的建物は元々東側と一体の連棟でしたが、取り壊し分離における壁面の養生時に目的建物の柱が越境しているかもしれません。越境の件で、私たちの前の居住者が周囲からいろいろ言われて退去してしまった言う経緯もありました。私たちが入居してからは揉め事はありません。ただし、東側隣地との間で境界に関する取り決めや合意はありません。

・破産管財人より
1.所有者に対する破産手続きは廃止で終了しました。

※執行官の意見より
1.占有者宛の郵便物の存在
2.目的建物は占有者が占有しているものと認められる。
3.目的建物の賃借関係について占有者は、占有者が所有者であると主張しているが、陳述以外に所有権を示す資料が存在しない。さらに賃貸借の事実がなく、賃料の支払もないことから占有者の占有権限は使用借権と解さざるを得ないと思われる。
4.占有者が、使用借権に基づき、住居として使用、占有しているものと認める。

※間取り及び室内写真より
1.間取りは3DKです。和室が3部屋です。
2.建物見取り図を見ると増築部分が記されています。
3.室内写真では日常性塚で使用される家電製品などが写っています。
4.室内の様子を見ると生活感があります。

★評価書より
1.最寄駅から徒歩17分。約1300mと記載があります。最寄のバス停の表記もあります。バス停から200m。徒歩3分です。
2.接面道路の状況:南側幅員約6.6m市道(建築基準法第42条1項1号)
3.経済的残存耐用年数は約3年とされています。
4.ライフライン:上水道、ガス配管、下水道はありとなっています。
5.特記事項として、寝屋川市によると、目的土地に引き込まれている上水道の引き込み管は3戸で共有しており、建て替えなどの際には、単独の引き込み管を新設しなければならないとのこと。
6.建築確認あり、検査済み証なし。
7.保守管理の状態:普通
8.目的建物は長屋住宅(4戸)として建築確認申請がなされている。当該申請後に土地の分筆が行われた結果、目的建物が現況使用している建蔽率は、法定の基準を超過している可能性が考えられる。
9.建物が東側に傾いているように感じられた。
10.基礎となる価格として約306万円が評価額として算出されています。
11.評価人の賃料設定がありませんでしたので、近隣の成約事例でみると4万円/月。年間で48万円となっています。

【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】

計算式1【売却基準価額での計算】
48万円÷204万×100=23.52%(表面利回り)

計算式2【基礎価額での計算】
48万円÷306万×100=15.68%(表面利回り)

計算式3【計算式2より2割減で求める計算】
48万円÷244万×100=19.67%(表面利回り)

上記のような数字となりました。

売却基準価額で見ると、表面利回りはまずまずの数字ですね。

傾きを感じているコメントは切り離しされた影響があるかもしれませんのでその辺のリスクを考えると入札件数は3件程度になりそうな気がします。


今回冒頭で記載があった、

【A】が占有している。同人は所有権を主張している。

こちらを簡単に解説しておきます。

登記名義上の所有者と異なる人が所有権を主張していて、家を使用占有している場合に用いられます。

所有権について争いが起きる可能性がある場合も考えられます。
ただ、その占有者は、執行手続き上では、買受人にその専有を対抗できないとの見解なので、最終的には強制執行での申し立てが必要となる可能性があることを予め考えておく必要はありますね。


※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?

現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。

併せて読んで頂けたら幸いです。


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