競売入札シミュレーション 神戸地裁本庁R2.7.21開札⑦
今回も神戸地裁本庁編です。
神戸市内ではなく、明石市内のマンションを取り上げてみます。
1Rはなかったので、ファミリータイプです。
事件番号 令和01年(ケ)第30044号
売却基準価額 4,560,000円
買受申出保証額 920,000円
買受可能価額 3,648,000円
種別:区分所有建物
物件番号:1
所在地:明石市貴崎三丁目
種類(登記):居宅
構造(登記):鉄筋コンクリート造1階建
専有面積(登記):2階部分 78.96m2
間取り:3LDK+S バルコニー南西向き
バルコニー面積:あり
管理費等:12,850円
敷地利用権:所有権
占有者:債務者・所有者
築年月:昭和62年12月
階:2階
総戸数:30
■ポイント■
★物件明細書より
特に気になる他人の権利のコメントはありませんでした。
ただ、その他買受の参考となる事項欄にコメントあります。
【物件番号1】
1.買戻し特約登記は、本執行手続きでは抹消しない。
ただし、買戻し権者から買戻し権の行使をせず、買戻し特約登記の抹消登記手続きについて買受人に協力する旨の申出がある。
2.管理費等の滞納あり。
★現況調査報告書より
・所有者が住居として使用されているようです。
・浴室内のタイルに一部ひび割れがあるようです。
・管理費等の滞納は調査日時点【令和2年1月現在】約14万円です。
※関係人の陳述等より
・債務者兼所有者のコメントより
1.私が居住している。
2.雨漏りや水漏れなどの損傷個所はなし。ライフラインの設備等の不具合箇所はない。
・マンションの管理会社担当者より
1.大規模修繕工事の予定は今年の後半以降の時期で検討中。
※間取り及び室内写真より
1.3LDKの間取りで、洋室1部屋、和室が2部屋になっています。大きな納戸があります。
2.バルコニーは北東、南西(メイン)2か所あります。
3.室内には家財道具など家族の方が住まわれているのが窺えます。
4.水回りの設備等は分譲時からの設備をご利用されているように見えます。
★評価書より
1.最寄駅から徒歩2分の場所にあります。約150m。
2.マンション全体の総戸数は135戸です。
3.経済的残存耐用年数は約10年程度と記載されています。
4.エレベーターはありません。
5.マンション全体の修繕積立金は約2億2千万円です。
7.駐車場の申し込み方法は抽選になるようです。
8.基礎となる価格として686万円が評価額として算出されています。
9.家賃については評価人が算出されています。6.7万円/月。
年間だと80.4万円です。
【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】
計算式1【売却基準価額での計算】
80.4万円÷456万円×100=17.63%(表面利回り)
計算式2【基礎価額での計算】
80.4万円÷686万円×100=11.72%(表面利回り)
計算式3【計算式2より2割減で求める計算】
80.4万円÷548万円×100=14.67%(表面利回り)
上記のような結果となりました。
利回り自体は高くはありませんが、ファミリータイプで考えると一度入居者が入れば長く入って頂けそうな印象ですね。
中古マンションとしての再販価格が900万円前後なので、買取再販事業者と競合しても落札額は近しい価格での競合になりそうです。
買取再販価格を980万円とすると
400万円あたりが入札される金額ではないかと推測します。高くても500万円まで。
それと比較して考えると、投資物件として入札を考えるならば売却基準価額に近い金額で460万円ってところでしょうか。
エレベーターがありませんが、2階部分なので売るにしろ、貸すにしろ出口としては見えやすいのではないでしょうか?
中に占有者が居らっしゃいますが、個人的にはビギナーの方でも取り組みやすい物件だと感じました。
※筆者の紹介
前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。
勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。
やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?
現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。
併せて読んで頂けたら幸いです。