【小説】タイムマシンに乗って ③
ーFake Swordー
どんなに小さなステージだって
そこに立つ人は
ぼくにとってのヒーローで
彼らは今日も
ぼくをわくわくさせてくれる。
ぼくだってヒーローになりたい。
だけど、ぼくが目指すヒーローは
進化を続けていて
その背中は、どこまでも遠い。
見失わないように追いかけていたら
彼らは歌いながら
大切なことをいくつも教えてくれた。
音楽の面白さ。
無限大の可能性。
そして
チャレンジする勇気。
……そうか。
やってみるか。
不安だけれど、でも、きっと大丈夫。
ぼくだって
誰かのヒーローになれるはずだ!
そうやって、ひたすらに自分を奮い立たせて
やりたかったことに
飛び込んで、走ってきた。
あと、もう少し。
信じて駆け抜けた先に見えたのは
見えたのは、
……あれ?
何も、見えない……?
ぼくのゴールはどこだ?
ぼくは何がしたかったんだっけ?
何になりたかったんだ?
今まで見えていたはずのものが
全部、偽物に思えた。